「起き上がると腰が痛いのは、腰が悪いから?理学療法士が見た寝返りとの関係【CASE2】」

学生・若手
ハナさん
ハナさん

起き上がる時、腰が痛いです

どうしたらいいでしょうか

1年目ユウセイ
1年目ユウセイ

腰をほぐしたらいいですかね、、

10年目ユウセイ
10年目ユウセイ

それも一つの方法だけど、何で腰痛が起きてるのか評価してみよう!

起き上がりは生活を始めるうえで欠かせない基本的な動作です。
この動作が困難になると、生活の場がベッドに限られてしまい、活動量や自立度が大きく低下してしまうことがあります。

一方で、起き上がりがスムーズにできるようになると、日常生活の質(QOL)が向上する場合もあります。

今回は「起き上がるのがつらい…」と感じている方に向けて、原因の見極めとケアのポイントを理学療法士の視点から解説します。

ハナさんの既往歴と主訴

  • 腰椎圧迫骨折の既往あり
  • 右側から起き上がると右腰部に疼痛 Visual Analogue Scale(以下VAS)7
  • 寝返りの段階から痛みが確認される VAS5

🔍理学療法評価

使用環境を確認する

ハナさんの生活環境
👉
・電動ベッド使用
・介助バーあり
・自宅の環境・構造上、右側からの起き上がりのみ可能

寝返り〜起き上がりの動作を観察する(寝返り・on elbow・on hand)

■右寝返り〜on elbow

・両上肢で柵を強く引きつける
・頭頸部は伸展位のまま
・左足底でベッドを蹴りながら右側へ寝返る→ この段階で右腰部にVAS4の疼痛

■on elbow〜on hand

  • 両手で柵を引きつける
  • 頭頸部は十分に屈曲できていない
  • on handになり身体を起こしていくと→ VAS7の強い疼痛が出現

座位に移行しても疼痛が継続している。

筋力を調べる

運動方向
股関節屈曲2(P)2(P)
伸展22
体幹屈曲3(P)3(P)
伸展2(P)
回旋2(P)2(P)

※(P)疼痛によって筋出力の低下が確認される

可動域を調べる

運動方向
股関節屈曲90100
伸展55
外転2015
内転105
外旋2530
内旋3025
体幹屈曲30
伸展0
側屈1510
回旋2015

筋緊張を調べる

触診検査

・右腰方形筋に圧痛、緊張亢進
・右腸肋筋に圧痛、緊張亢進

🧩考察

起き上がりは「寝返り → 立ち上がり」の連続動作となる。
そのため、寝返りの段階で負担が大きいかどうかを確認していくことが重要。

寝返りの段階で腰部に負担が集中している場合がある

ハナさんは寝返り時点で腰痛が生じていた。

寝返りの段階で腰部の筋肉が過剰に働き、起き上がりで痛みが増強している可能性がある。

足底で蹴って寝返ることで負担が増える可能性

寝返りの際、左足底でベッドを強く蹴っている。
腹圧が十分に入らない状態でこの動作を行うと、腰部に過度な負担が集中する場合がある。

頭頸部が伸展位のままだと腹圧が入りにくい理由

頭頸部が伸展位のままだと、腹部に力が入りにくくなり、体幹で動作をコントロールしづらくなる可能性がある。
結果として腰部の筋肉が代償して過剰に働きやすくなり、腰痛につながる場合がある。

考察のまとめ

  • 頭頸部伸展
  • 足底で強い蹴り

上記のポイントにより
👉
✔️腹圧が低下する
✔️腰部筋が過剰に働く
→腰痛が生じる

と仮説を立てる。

💡ケアアプローチ

寝返りをケアする

寝返りの際に
👉
・頭部伸展
・足部での強い蹴り

これらが腹圧の低下を招き、腰部に負担を増加させていると推察。
そこで右側臥位からクッションを潰すように練習。

足底で蹴る寝返りをやめ、体幹で動作をコントロールできるようにケアする。

このケアの目的として、
👉
・頭頸部屈曲、股関節屈曲を誘導。
・腹圧の上昇
・足底で蹴らずとも寝返りを行える筋力をつける

徐々に半側臥位、仰臥位からでもクッションを抱き抱えていれば、疼痛なく寝返りを行えるようになる。

背上げした状態で頭頸部屈曲を促す

ベッドを背上げし腰部に過剰な収縮が入りにくいように調整。
その状態から枕から頭を離し、顎を軽く引く。
→ 頭頸部の屈曲が促され、腹圧を入れやすくする。

左手でベッドを押すことで腹圧を高める工夫

頭頸部を屈曲に促したら、左手でベッドを下方向へ押していく。
押していくことで、
👉
・体幹を屈曲位に誘導
・左上肢から腹部へと筋連鎖を働かせる
・腹圧を高める
上記の効果を期待し実施。

角度を段階的に下げながら練習する

背上げした状態で頭頸部屈曲・腹圧が入るようになってきたため、
👉
・徐々に角度を少しずつ浅くする
・フラットに近い角度でも介助しつつ起き上がる

このように、段階的に難易度を調整し、疼痛のない範囲で成功体験を積んでいく。

2週間後、ベッドがフラットの状態でも疼痛なく自力で起き上がりを行うことができた。

まとめ

今回は起き上がり時に腰痛が生じるケースへの評価とアプローチを解説しました。

①頭頸部が伸展位のまま足底でベッドを強く蹴る寝返りが、腹圧の低下と腰部筋の過剰な活動を招いていました。

②アプローチとして、クッションを抱えた寝返り練習で頭頸部屈曲と腹圧入力を促し、足底で蹴らない動作パターンへ修正しました。

③ 電動ベッドを背上げした状態から顎を引き、左手でベッドを押す動作で腹圧をさらに高め、段階的に角度を浅くしながら練習しました。

④ 2週間後にはベッドがフラットの状態でも疼痛なく起き上がりが行えるようになりました。

⑤ 起き上がり時の腰痛には頭頸部の屈曲不足と腹圧低下が大きく関与しており、寝返りの段階から動作パターンを見直すことが改善への鍵となります。

不安があれば医療機関へ相談を

体の状態には個人差があり、すべての方が同じように改善するわけではありません。
痛みが続く場合は医療機関の受診をおすすめします。

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最後に(免責)

本記事は一般的な情報提供を目的としています。

目の前の患者さんへの適応可否は、各自の評価と専門職としての判断に基づいて実施してください。

患者さん一人ひとりで疾患・既往・身体特性が異なるため、記載内容がすべての方に同様の効果をもたらすとは限りません。

本記事を参考にして生じた損害等について、筆者は一切の責任を負いかねます。

あらかじめご了承ください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

以上、理学療法士 ユウセイでした。

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