
立つ時に、足が踏ん張れないんだ

踏ん張れない、、とっても多いお悩みですよね

足が踏ん張れないと転倒のリスクが高まるね
一緒に確認していこうか
「立ち上がろうとすると、足に力が入らず踏ん張れない…」
そんな訴えは、臨床でよく耳にします。
支持基底面が足底だけになる立位では、踏ん張れなさは転倒のリスクを高め、動作への不安や恐怖にもつながります。
本記事では、立ち上がり時に右足で踏ん張れない原因と、その評価・アプローチの視点を解説します。
本記事の症例は、個人が特定されないよう一部を改変しています。
タケシさんの既往歴と主訴を確認する
・左視床出血による右半身麻痺
・Brs右上肢Ⅴ 手指Ⅴ 下肢Ⅴ
・立つ時に足が踏ん張れない感覚がある
🔍理学療法評価
症状を確認する
・右足底面は常にしびれる感覚がある
・触覚、圧覚は感じる事ができる

感覚検査
5回法で実施※5回触り正答数を以下の基準で評価
5/5正常 4/5軽度鈍麻 3/5中等度鈍麻 2~0/5 重度鈍麻
以下正・軽・中・重で表記
触覚検査
左足底は正常であり、右のみ記載
| 足背 | 中 |
| 足底(小趾球) | 中 |
| 足底(踵) | 軽 |
指で足底を擦ると、なんとなく理解できるとの事。
位置覚検査
左足底は正常であり、右のみ記載
| 右股関節 | 中 |
| 右膝関節 | 中 |
| 右足関節 | 重 |

運動覚検査
右母趾を用いて検査。5/5で検査の結果正常と判断。
筋力を確認する Manual Muscle Testing
| 運動方向 | 右 | 左 | |
| 股関節 | 屈曲 | 4 | 5 |
| 伸展 | 3 | 4 | |
| 外転 | 4 | 5 | |
| 内転 | 3 | 4 | |
| 膝関節 | 屈曲 | 4 | 4 |
| 伸展 | 4 | 5 | |
| 足関節 | 背屈 | 3 | 5 |
| 底屈 | 3 | 5 |
立ち上がり動作と立位バランスを確認する
立ち上がり
骨盤前傾・体幹前傾を行えており、両下肢への重心移動も実施可能。
離殿もゆっくりではあるものの支持物なく可能。
しかし右下肢に体重がかかる感覚が乏しいとの発言あり。
また離殿後、殿部が後方に移動し踵に重心が移動する。


また立ち上がり、立位の際に、
👉
・足趾が屈曲する
・too-many-toe-signが確認される
🧩考察
今回立ち上がりの際に踏ん張れない問題点として、以下の問題が挙げられる。
位置覚の低下
位置覚が低下することによって、
👉
・右足部の位置に左右差が出る
・右足部に体重が乗りにくい
つまり、踏ん張る以前にそもそも体重がかけにくいポジションをとっている可能性がある。
触覚・圧覚の低下
触覚・圧覚の感覚低下が生じることで、
👉
・後足部中心の重心制御
・前足部に重心を移動できない
→支持基底面の縮小
足部が踏ん張るために必要な土台が縮小しすぎている。
アーチ機能の低下
足底を支える機能として、
👉
・内側縦アーチ
・外側縦アーチ
・横アーチ
が存在している。



上記のアーチが機能する事で、足部の安定に繋がる。
しかし、アーチの働きが乏しいと、
✔️安定性を担保しようと、指先に過剰に力が入る場合がある。
→その結果足趾が屈曲し、足底の支持基底面が縮小する。
足部内にある筋肉(内在筋)は虫様筋や骨間筋からなります。これらの萎縮により〜中略〜外在筋とのバランスが崩れ,クロートゥやハンマートゥなどの足部の変形が起こる
菊池 守.足の褥瘡に対するケアの対応を見極める.WOC Nursing.2014;12(5):47.医学出版.


さらにtoo-many-toe-signを確認したことで、足部アーチの機能が低下している可能性が示唆される。
足趾に体重が乗せられず、タケシさんは、
👉
・立ち上がりの際に踵寄りの重心となる
・バランスが低下する
右下肢の筋力低下が生じている
👉
・右足関節背屈、底屈ともに筋力低下が生じている
・右股関節内転筋、伸展筋の筋力低下が生じている
上記の問題点から立ち上がりが不安定になっていると考えられる。
問題点のまとめ
ここまで問題点を列挙すると、
・位置覚の低下
・アーチ機能の低下
・母趾球、小趾球の触覚、圧覚の低下
・股関節内転筋、伸展筋の筋力低下
これらにより、不安定性が増加し、足が踏ん張れない反応に繋がっていると推察。
💡ケアアプローチ
タケシさんは、体重がかかる感覚が乏しいとの事であった為、
👉
・触覚
・圧覚
に働きかけていく。

足底の母趾球、小趾球に触覚・圧覚刺激を入れていく。
しかし触れていると分かるが、離すと触られていた感覚は残らないとの事。
その為、
✔️手を離しても触られていた感覚が残る
ここを目標としてケアを行う。
内側縦アーチは,〜中略〜筋力低下によってアーチを低下させる筋は,後脛骨筋,長腓骨筋,短腓骨筋,長趾屈筋,足底筋(短趾屈筋,虫様筋,母趾外転筋)である.
外側縦アーチを機能させるためには,短腓骨筋,長腓骨筋,小趾外転筋,下腿三頭筋,第三腓骨筋,長趾伸筋などの筋トレーニングが有効である.
安倍浩之・中川法一.インソールマニュアル 姿勢と歩行を快適にする運動連鎖アプローチ第2版.三輪書店.2022,13-14.
これらの筋群の活動を促すことも意識し、足底からのアプローチを行った。
①指先で足底面を圧するように擦る
→刺激を反復すると、微弱にジワジワした感じが、残っているとの反応を得られる。
②そこで踵を接地したまま、小趾球で床を押してもらう

③小趾球で押せていることを確認し、母趾球でも床を押す
⚠️母趾球で床を押す際に、膝が内側に入ってきやすいため、声掛けし、小趾球と母趾球を同じ程度に押してもらう。


ケアを反復すると、足趾の屈曲が緩和する。
④体幹前傾し、踵・母趾球・小趾球の3点に、体重をのせる
3点で床を踏みこめるようになったら、踏み込みながら体幹前傾を反復していく。

その際に、
👉
・内、外側縦アーチの部分に力が入っている
・母趾球、小趾球、踵で押し込めている
・殿部、大腿に力が入っている感覚がある
上記を認識できてくる。
足部のアーチを機能させつつ、床を押し込むことによって股関節周囲の筋活動を高めていく。さらにその状態から体幹を前傾することで抗重力伸展活動を生み出し、大殿筋の活動を高めていく。
⑤アーチが機能してきたところで、立ち上がりへと誘導
3点に体重が抜けないように意識してもらいながら、改めて体幹前傾し立ち上がる。
立ち上がりの際に、
👉
・3点で床を押せている感じがする
・右足も踏ん張れており、不安定な感じがしない
・足趾屈曲も、改善している事を確認

自主訓練
👉
・3点固定を意識してもらう
・そのまま体幹前傾し床を押す
・足趾屈曲しない事を意識

また立つ前に両足部が同じ位置にあるかを確認してもらう事で、位置覚の低下にも配慮。
今後は目線を外した状態で、足部の位置を合わせる訓練も行っていきたいと考える。
まとめ

立ち上がり時に右足で踏ん張れないケースへの評価とアプローチを解説しました。
- 位置覚・触覚圧覚の低下により右足部への荷重感覚が乏しく、踵寄りの重心となりやすい状態でした。
- 足部アーチ機能の低下により足趾屈曲やtoo-many-toe-signが確認され、支持基底面が縮小していました。
- アプローチとして足底の触覚・圧覚刺激を反復し、踵・母趾球・小趾球の3点で床を押す感覚を段階的に再学習しました。
- 3点への荷重が認識できるようになると足趾屈曲が改善し、股関節周囲の筋活動も高まりました。
- 立ち上がり時の不安定感の背景には足底感覚とアーチ機能の低下が関与していることがあり、3点支持の再学習が改善の鍵となります。
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最後に(免責)
本記事は一般的な情報提供を目的としています。
目の前の患者さんへの適応可否は、各自の評価と専門職としての判断に基づいて実施してください。
患者さん一人ひとりで疾患・既往・身体特性が異なるため、記載内容がすべての方に同様の効果をもたらすとは限りません。
なお、当サイトの情報を参考にされたことで生じた損害等について、当方では責任を負いかねますことをご了承ください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
以上、理学療法士 ユウセイでした。


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