CASE16 トイレまで我慢できない! 失禁を抑えるためには?

リハビリ記録

こんにちは、ユウセイです。

理学療法士として、病院・施設・在宅と関わりを持ち、経験も10年以上になりました。

今は理学療法士としての治療と、考え方を日々発信しています!

ハナさん
ハナさん

最近、トイレに行く前に出てしまうことがあるの

怖くて外出も出来ないし、困ってるわ

1年目ユウセイ
1年目ユウセイ

すごくデリケートな問題ですね

10年目ユウセイ
10年目ユウセイ

衣服を取り替えたり、掃除したり、すごくストレスになると思う

私たちにとって排泄は重要です。

しかし、重要なのは排泄をしたい時に、トイレで排泄できる事です。

失禁してしまうと、衣服の交換、洗濯など必要になります。

また介助者にとってもストレスになることが多いです。

今回はトイレに行くまで排便を、我慢したい方に対しての対応を解説します。

この記事でわかること

排便抑制する筋肉

失禁に対しての評価

失禁を予防する治療

排便抑制する筋肉

排尿、排泄を抑制する筋肉として、骨盤底筋群が挙げられます。

今回の場合は便を我慢したいとの事である為、骨盤底筋群の中でも、肛門を締める外肛門括約筋の筋力が必要です。

骨盤底筋群は骨盤底に張り巡らされたハンモックのような構造をしています。

竹井らは肛門の括約筋と尿道の括約筋は連動していると述べています。¹⁾


上記の知見から、外肛門括約筋を単独で鍛えるのではなく、外肛門括約筋を含む骨盤底筋群全体の筋力強化が重要であると考えます。

また女性の骨盤底は膣が尿道を下から支えられており、際恥骨尿道靱帯、仙骨子宮靭帯、骨盤底筋群が協調する事で膣が支えられます。しかしこの協調が崩れると尿漏れ、便漏れの症状が出てきます。²⁾


上記の知見から、骨盤底筋全体が筋力低下すると、便失禁を起こすことがあります。

骨盤底筋群は排尿・排便を抑制する

尿道括約筋・肛門括約筋は連動している

引用文献

1)竹井仁.正しく理想的な姿勢を取り戻す 姿勢の教科書.ナツメ社.2015,76-77.

参考文献

2)関口由紀.女性の尿もれ・頻尿は骨盤底筋を鍛えて防ぐ!.PHP研究所.2018,26-31.

失禁に対しての評価

ハナさんの骨盤底筋群の評価

座位でお尻の穴を締められるか確認しました。

その際に下腹部に腹圧が高まるかも評価しました。

ハナさんの場合は、お尻を締めた感覚も、下腹部に力が入る感覚も、分からないとの事でした。

その為、骨盤底筋群の活動が得られていないと考えられます。

側臥位で坐骨結節内側に対し、セラピストの手を当てがいます。

そこから坐骨結節を、真っ直ぐ押しこみます。

この時お尻の骨を、掌で触っても良いか確認します。

ハナさんにはできるだけ、掌を殿部で押しこんだ際に、押し返してもらうようにお願いしました。

しかしハナさんは、押しこんでも反応することができませんでした。

またどうやって押すのか分からないとの発言も聞かれました。

特に右側の骨盤底筋群は、より反応が鈍くなっていました。

ハナさんの評価

お尻を締める感覚が感じとれない

骨盤底筋群が弱化している

骨盤底筋群の瞬発性が低下

失禁を予防する治療

評価から仮説を立てる

今回のハナさんの場合では、骨盤底筋群の筋力低下、瞬発性低下が確認されました。

特に右坐骨結節に対しての押し込みには反応が鈍くなっていました。

便は形状や硬さも毎回変化します。

状況に合わせ、瞬時にお尻を締め、失禁を予防しなければなりません。

ハナさんは上記の機能が低下している為、失禁してしまうと考えます。

そこで、尿道括約筋、肛門括約筋を含む骨盤底筋に対して適切に収縮を入れ、筋力・瞬発性を改善する事が重要と判断しました。

骨盤底筋群の筋力を改善する

骨盤底筋群の瞬発性を改善する

治療(臥位)

側臥位で、坐骨結節のやや内側に小指球を当てます。

この時お尻に手をあてがう為、許可をとってください。

セラピストが手で坐骨結節を、押したら素早く、お尻で手を押し返すように、口頭指示を行いました。

最初は反応が、乏しかったですが、繰り返すと、掌を押し返してこれるようになりました。

また下腹部に力が入る感じがするとの発言がありました。

また坐骨結節に意識を向けた為、素早く対応ができるようになりました。

訓練を継続し、左右差が無くなってきた為、再度側臥位で、お尻を締めてもらいました。

その際にお尻が締まるのを感じる事が出来ました。

坐骨結節に掌を当てがい、骨盤底筋群を鍛える

素早く押し返せたら、お尻を締める

治療(座位)

座位でもお尻の穴を、締めてもらいます。

しかし座位になると、側臥位よりも分かりにくいとの事。

ハナさんの両手を坐骨結節に当てがい、骨盤底筋群が、働くのを感じてもらいます。

お尻の穴が締まる感覚をあると感じてもらえた為、その感覚を意識してもらう事としました。

また同時に下腹部に力が入るとの事でした。

慣れてきたら、お尻を締めた時に便を止めるようなイメージを持ち、訓練を行ってもらいました。

収縮した後は、必ず弛緩を数秒間行い、訓練中は息を、こらえないようにしてもらいました。

座位で骨盤底筋群が働けているか確認

本人の手を当てがい、収縮を感じてもらう

息を止めて訓練しない

治療(立位)

最終的に立位でお尻を締める訓練を行います。

ハナさんはトイレに間に合わない為、立位での骨盤底筋の収縮も必要でした。

立位になると、お尻を締める感覚が、分かりにくいとの事でした。

座位と同様で坐骨結節を、立位の状態で触ってもらいます。

坐骨結節と坐骨結節が近づくように、お尻を締めてもらうと、締まる感覚が徐々に分かるようになりました。


更にセラピストが不定期に、締めて!と発言をした時は、瞬時に締める、瞬発性の訓練も行いました。

立位で骨盤底筋群を働かせる

自主訓練


リハビリでの感覚を思い出し、立位で便を止めるイメージで、お尻を締める事を、自主訓練としました。

1週間後訪問した際に、便失禁の改善を確認しました。

外出も行えていると、嬉しそうに伝えてくださいました。

まとめ

今回はトイレに行くまで排便を我慢したい方に対しての対応を解説します。

治療の手順としては、以下の通りになります。

この記事でわかること

排便抑制する筋肉

失禁に対しての評価

失禁を予防する治療

いつ失禁するか、分からない状況では、外出は非常にハードルが高いです。

一方で、訓練を行えば、問題を改善できる事もあります。

リハビリテーションと言葉では、一括りになっていますが、患者さんのニーズは多岐にわたります。

セラピストは、準備が欠かせないなと、改めて感じたケースでした。

おすすめ書籍

今回記事を書くに伴い、とても参考になった書籍を2つ紹介します。

まずは竹井仁先生の執筆された「正しく理想的な姿勢を取り戻す 姿勢の教科書」です。

記事でも引用させて頂いていますが、骨盤底筋の連動に関しては、臨床をしていて、腑に落ちるなと、改めて実感させてもらいました。

また今回は全てご紹介していませんが、本書の中には、骨盤底筋群のどの筋肉がどこに連動しているかまで記載されています。

筆者自身治療の幅を増やすために、非常に参考になった良書です。

ぜひお手に取り読んで頂けると幸いです。

もう一冊は関口由紀先生の執筆された「女性の尿もれ・頻尿は骨盤底筋を鍛えて防ぐ!」です。

女性の身体的構造まで把握したうえで、骨盤底筋群に対しての、トレーニング法や考え方を提案して頂いています。

今回の記事でも参考にさせて頂きましたが、女性の失禁が生じた場合の尿道、膣、靭帯、骨盤底筋群の関係性に関しては、目からウロコでした。

男性も女性も同じように、失禁の予防をさせて頂いていましたが、男女の身体的構造の違いも理解でき、患者さんにより細やかな説明ができるようになりました。

あとフォントも大きく、イラストも多く入っており、読みやすいのも嬉しいですね。

非常に参考になる良書ですので、是非お手にとり読んで頂けると幸いです。

最後に

この記事を参考にされる際は、目の前の患者さんに、紹介した評価・治療が適応できるか、判断して頂いたうえで、使用して頂ければ幸いです。

患者さん一人一人、疾患、既往歴、身体的特徴等異なります。

そのため、今回ご紹介した治療は、万人に対して、再現性を担保できるものではありません。

それらを踏まえた上で、参考にして頂ければ幸いです。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

以上、ユウセイでした。

Instagramで最新記事のお知らせをしています!是非フォローをよろしくお願いします。(koturiha_y.t

コメント