CASE10  歩くときに右足が擦る!歩容を改善させるポイントとは!?

リハビリ記録

こんにちは、ユウセイです。

理学療法士として病院・施設・在宅と関わりを持ち、経験も10年以上になりました。

今はその経験を活かして理学療法士としての治療と考え方を日々発信しています!

タケシ(仮名)
タケシ(仮名)

歩くときに右足が擦ってつまずきそうになるんだ

1年目ユウセイ
1年目ユウセイ

歩くときに足が擦ってしまう方多いですよね

10年目ユウセイ
10年目ユウセイ

そんでもって足を持ち上げるような訓練をしても、うまくいかないことが多いね

今回はリハビリで見る機会が多い遊脚側の下肢が擦ってしまうケースについて詳しく解説していきたいと思います。

このケースは非常に多いと思いますし、脳卒中もしくは整形で疾患の問題を抱えた患者さん以外にも多くの方で見られる傾向となっています。

その為入院中はもちろん、外来などでもリハビリの処方が出る頃には、つまずいてしまう、歩きにくいなど実際に生活で問題になり、リハビリが開始になったということがよくあります。

このような問題が生じたときに、筆者の経験が皆様の一助になればと考えため解説させていただきます。

この記事でわかること

体重移動ができているかがキモ!

歩行時の骨盤と肩甲骨の関係性

適切な体重移動を感じてもらうための工夫

体重移動ができているかがキモ!

タケシさんの既往歴

左人工股関節全置換術

変形性脊柱側弯症

まず筆者の経験で恐縮ですが多くの症例で遊脚側に問題が少ないことが多いです。

擦ってしまう原因として、立脚側の支持性が不十分であることが挙げられる印象です。

そのため、重心移動の訓練を簡易的にチェックしていきたいと思います。

結果

左踵上げやすく、右踵が上がらない

このことから、左下肢に体重を乗せることが困難であると考えられます。

続いて体重の乗せ方ですが、左下肢に体重を乗せる際に体幹が大きく左側屈してきます。

これは体幹を左側屈することによって、重心を乗せやすくする代償動作が働いています。

しかしその状態から右足を上げようとしても、重心が右足に残っていることがあるため、踵が上がりにくいと判断できます。

体重移動した際に体幹が側屈した場合は重心移動が適切に行われていない可能性がある

歩行時の骨盤と肩甲骨の関係性

歩行時は体重を乗せる支持側の骨盤が挙上し、肩甲骨も挙上するのが一般的です。

その為、中殿筋は体重を支える為に遠心性収縮にて筋力を発揮する必要があります。

また肩甲骨が挙上していくことによって、体幹の伸張を図ることができ重心移動をスムーズにすることができます。

しかし、この患者さんは体幹が左側屈してしまい立脚相で短縮する傾向にあります。

その為、重心移動が妨げられてしまい、右下肢に体重が残っていると推察できます。

この重心移動を確認することで、左の股関節の外転筋が適切に働くことができていないと推測できます。

既往歴にも左股関節に手術歴がありますので、左右差が生じるのも無理からぬことかもしれません。

歩行時は体重を乗せる支持側の骨盤が挙上し、肩甲骨も挙上する

股関節外転筋の弱化で代償的に側屈が生じる場合がある

適切な体重移動を感じてもらうための工夫

左下肢に適切に体重移動を行っていくため、目標物に対して骨盤を近づけていきます。

加えて体幹の側屈により肩甲骨が下制してしてしまうことに本人も気づいていないため、鏡やセラピストの接触の誘導によって肩甲骨の挙上を促していきます。

最初は違和感があり、口頭で説明した通りに動かすことで精一杯でしたが、徐々に動作に慣れてくることができました。

その状態で右下肢に注意を向けてもらうと、膝が勝手に曲がってくるといったりアクションが生じました。

そのまま1歩右下肢でステップを出してもらうと軽く出せたことに気づいてもらえたため、この感覚を反復し訓練することで、右足が擦りにくくなると判断できました。

更に今までは立脚中期の練習になりますが、立脚中期から後期を含めた訓練として骨盤の誘導を横に誘導するところから斜め前へ誘導し、前足部にも体重が乗っていくように意識してもらいました。

その意識により遊脚を更に出しやすくなりました。

歩行時の体重移動の軌跡としては、踵から母趾へと抜けていくため、最終的には母趾に体重が乗っていくように口頭指示を促しました。

そのまま右足が軽く出ていく感覚を養った結果、足が擦りにくくなったとの発言があり効果を得ることが出来ました。

立脚中期では骨盤は真横、後期では斜め前へ誘導するとフェイズ事に治療できる

最終的に重心は母趾に抜けていく

擦りにくくなった感覚を本人が得ることがとても重要

まとめ

今回は左下肢の支持性が低下していることによって右下肢を振り出すことができなかったケースでした。

さらに手術の既往歴、脊柱の変形などによって適切な体重移動が妨げられている身体的特徴もありました。

セラピストは客観的に動作の特徴に気づき、新しく適切な感覚を患者さんに伝えていくことによって動作を変えられる可能性を持っています。

もちろん症例ごとで治療内容、提案は工夫していく必要があると考えられますが、この経験が皆様の一助になれば幸いです。

最後に

この記事を参考にされる際は、目の前の患者さんに紹介した評価・治療が適応できるか判断していただいた上で使用して頂ければ幸いです。

患者さん一人一人、疾患、既往歴、身体的特徴等異なります。

そのため、今回ご紹介した治療は万人に対して、再現性を担保できるものではありません。

それらを踏まえた上で参考にして頂ければ幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

以上、ユウセイでした。

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