こんにちは、ユウセイです。
理学療法士として病院・施設・在宅と関わりを持ち、経験も10年以上になりました。
今はその経験を活かして理学療法士としての治療と考え方を日々発信しています!
脳卒中の患者さんで足を振り出す際に肘が屈曲してしまう患者さんを目にします。
移動の際に上肢の緊張が上がってしまうことで、その後の更衣が困難になったりと困るケースがあります。
今回はなぜ歩行中に肘が屈曲し緊張が上がってしまうのか詳しく解説します。
足を振り出す時に肘が曲がる理由
今回は右半身に麻痺があり、右肘が屈曲してしまうケースを考えてみましょう。
ぶんまわし歩行の主動作筋
歩行中に肘が屈曲していく患者さんに多いのが、ぶんまわし歩行をしている点です。
ぶんまわし歩行と上肢の緊張はセットになっていることが多いです。
ぶん回し歩行は腰方形筋を主とした骨盤の挙上によって引き上げられます。
そのため体重が反対側に移行していなくても、その引き上げによって強引に遊脚を作ることが出来るのが利点です。
たしかに股関節や膝関節もさほど屈曲していなくても、足と床との距離(以下クリアランス)を作れる気がしますね。
ぶんまわし歩行のメカニズム
腰方形筋の収縮によってクリアランスを作ることが出来ます。
しかし腰方形筋の走行は腸骨稜の後面から肋骨へと付着しています。
そのため右腰方形筋の収縮によって下肢を引き上げると下部体幹は右回旋します。
その状態で足を前に出そうとすると、より背側の筋肉を使用して身体を反らせるようにして出すことになります
そうなると右側後方にバランスを崩しやすくなります。
本来は腰方形筋ではなく、腸腰筋を使用して遊脚を作っていきます。
しかしぶんまわし歩行をするということはそう出来ない理由があると解釈できます。
腰方形筋は背側に付着しているため、収縮すると下部体幹が後方に回旋する
その状態で足を振り出そうとすると身体を反らせる必要があり、後方にバランスを崩しやすい
確かに後方に転倒しそうになりますね。
腰方形筋で引き上げた後股関節の屈曲筋を使用して振り出すことはできませんか?
それは難易度が上がるから患者さんとしては選択しづらいかもな〜。
引き上げが起こっている時は主動作筋が腰方形筋で骨盤は固定されたまま、振り出されています。
ここで腸腰筋等に切り替えれば後方へバランスが崩れるリスクは軽減します。
しかし遊脚の際に別の筋肉に切り替えるとなると、途中で腰方形筋の引き上げを解除しなければなりません。
選択的に屈曲筋に切り替えることになるので動作の難易度が上がりますし、不安定になります。
そのため患者さんも腰方形筋で引き上げて振り出したほうが動作が単一で簡単です。
脳卒中で随意性が低下している患者さんは主動作筋の切り替えが困難になっていることがある
腰方形筋で骨盤を引き上げて振り出す方が、工程が少なく動作が分かりやすい
ぶんまわし歩行のバランス戦略
でも後方に転倒するリスクは抱えてますよね?
そんな時に役立つのが上腕二頭筋による収縮によって肘を屈曲して、体幹が右側に倒れそうになるモーメントを打ち消すんだ。
体幹が安定すれば多少体幹を伸展方向に誘導して降り出してもバランスを崩さずに降り出しを行うことが出来る。
だから肘が屈曲する必要があるってことになるで。
腰方形筋が生み出した後方への回旋モーメントを同側の上腕二頭筋の収縮によって打ち消せる
バランスの戦略として肘を曲げていると解釈できる
まとめ
今回は脳卒中の患者さんが足を振り出す時に肘が屈曲する理由について詳しく解説しました。
肘が屈曲する理由としては以下の理由が挙げられます。
代償動作で歩行をしている場合はバランスを保つために、特有の戦略をとります。
少しでも参考になれば嬉しく思います。
以上、ユウセイでした。
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