こんにちは、ユウセイです。
理学療法士として病院・施設・在宅と関わりを持ち、経験も10年以上になりました。
今はその経験を活かして理学療法士としての治療と考え方を日々発信しています!
起き上がりをおこなう事が難しい患者さんは何を見たら良いんでしょう?
いくつかあるけど一番重要な事を伝えるよ。
頭頸部を枕から離すことが鍵!
起き上がりの際に重要になってくるのが、頭頸部が屈曲して枕から頭を離すことが出来るかどうかです。
枕から頭を離すことが出来ないと、難易度があがります。
また腹圧が低下しやすく腰痛も生じやすくなります。
そのため最初は頭をセラピストが支えながらでも頭を枕から数センチでも浮かせていきます。
寝返りの時に頭頸部を屈曲方向に誘導することも忘れないようにしましょう。
頭頸部を屈曲できないと起き上がりの難易度が上がる
頭頸部を屈曲して起き上がりが出来ないと腰痛のリスクが生じる
頭頸部の屈曲をするうえで気をつけること
頭頸部の屈曲は非常に重要な動きですが、訓練するうえで気をつけることがあります。
それは訓練する患者さんの状態に配慮することです。
基本的には頸部に問題がある患者さんには頭頸部の訓練には細心の注意を払います。
場合によっては頭頸部の運動そのものが禁忌となる場合もありますので必ず確認しておきましょう。
患者さんが頚椎カラーを使用している場合は、頭頸部の可動性を制限しなければならない理由がある事が多いです。
起き上がりの際にも頭頸部には負担をかけず、電動ベッドを用いて起き上がりしていく事が必要な場合があります
特に医師から頭頸部の動作に関しての指示がある場合は遵守しましょう。
それほどに頭頸部の問題にはリスクが多く伴います。
頭頸部には器質的問題がない患者さんでも糖尿病がある場合のリスクに触れたいと思います。
糖尿病の患者さんは動脈硬化が進行している場合があります。
その状態で息を止めて頭を持ち上げたりすると、血圧が一時的上がって血管に負担がかかります。
特に目には気をつけましょう。網膜出血のリスクもありますし、息を止めての訓練は非常に危険です。
筆者が以前関わった患者さんで、習慣で腹筋をしていた糖尿病患者さんがおられました。
その際にいきむと目のところにツーンと疼痛があると言われたことがあり、習慣ではありましたが中止してもらいました。
いきむことは無意識にしてしまいがちですが、危険な行為となることがありますので、見落とさないようにしましょう。
こちらが訓練を提案している時は更に注意が必要です。
頭頸部の運動をする時は回数なども安易に決めず反応を見ながら行いましょう。
いきむと血圧が上がりますよって止めてあげるといいで。
血圧のことを伝えるとだいたい止めてくれる人が多いで。
頭頸部の運動制限がある場合は遵守する
糖尿病がある人に息をこらえた運動を行わない
(治療編)リスクを抑えて頭を枕から離す
頭頸部を屈曲していく際のリスクを踏まえたうえで頭頸部の運動が可能な場合、負荷量を調整していきます。
もし頭頸部の屈曲が難しくて枕から頭を離すことができないなら、ベッドの背上げ機能を使用するのをおすすめします。
ベッドの背上げを行い長座位に近い状況から、頭頸部を屈曲して枕から離していくのも効果的です。
ベッドの高さがフラットの状態から頭頸部を屈曲するよりも、動作の難易度が下がります。
起き上がりが困難になるのは、頭頸部を屈曲して枕から離すことができなくなるからです。
原因としては頭部の重さはもちろんのことですが、重力に抗していくため、ある程度の筋力が必要になるからです。
そのため頭頸部の筋肉に筋力低下が生じると、難しい動作になります。
その点ベッドの高さがフラットの状況よりも、長座位の方が重力が運動方向に類似していることが分かります。
そのため動作が行いやすくなることがあります。
じゃあそこから段々にベッドを下げていけば段階的に訓練できますね。
そう。重力を考えるなら側臥位から頭頸部の屈曲を始めてもいい。
痛みが出ないかは慎重に確認しながら行うで。
背臥位からの起き上がりが一番難易度が高いため電動ベッドを利用する
側臥位にする事で頭頸部の負担を軽減しつつ訓練をすることが出来る場合がある
まとめ
今回は起き上がりの際に重要な頭頸部の屈曲について解説していきました。
起き上がりの際に頭頸部の状態を把握することは重要です。
事故を未然に防ぐことにも繋がりますので必ず頚椎カラーの有無、禁忌事項や疼痛がないか確認しておきましょう。
起き上がりの際に頭頸部が屈曲し、枕から離せるようになると大きく動作の難易度が下がります。
しかし息を止めてしまっては血圧上昇などのリスクが有り、万人受けしません。
特に糖尿病、高齢者の方には注意が必要です。
福祉用具の使用や重力がかかりにくい側臥位での訓練も検討しましょう。
リハビリは提案する訓練の難易度、回数で毒にも薬にもなります。
薬に出来る内容、運動量を提供できるようにしていきたいですね。
負荷量の調整が上手な先生は信頼されるで。ワシもそこを目指しとるで。
オススメ書籍
もっと色んなパターンを知って運動の分析を行いたい方は以下の著書がオススメです。
筆者が実習生だった時、現場に出た時に非常に頼りになった一冊です。
最後に
この記事を参考にされる際は、目の前の患者さんに紹介した評価・治療が適応できるか判断していただいた上で使用して頂ければ幸いです。
患者さん一人一人、疾患、既往歴、身体的特徴等異なります。
そのため、今回ご紹介した治療は万人に対して、再現性を担保できるものではありません。
それらを踏まえた上で参考にして頂ければ幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
以上、ユウセイでした。
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