
1日中手がしびれてるのよね
何とかならないかしら

しびれに困っている方は、多いですよね。

そうだね
なんとかしてあげたいね
しびれは非常に不快な感覚で、たとえ軽度でも日常生活の質を下げてしまうことがあります。
原因には神経・筋・関節などさまざまな要因が関係しますが、姿勢の影響 が大きく関与するケースも少なくありません。
長時間同じ姿勢をとったり、無意識に体を偏らせてしまうことで、筋肉や神経にストレスがかかり、しびれにつながることがあります。
今回は「姿勢が一因となっている可能性があるしびれ」に対して、筆者の経験をもとに、理学療法士としての視点から 考え方・評価視点・アプローチの流れ をまとめます。
なぜ手がしびれるのか?|まずは症状の特徴を整理する
まず重要なのは、どの部分が、どんなふうにしびれるのか を整理することです。
ハナさんの場合は、
- 右上腕
- 前腕外側
- 親指〜小指の腹側面
にしびれがあり、特に前腕外側〜橈骨遠位端に強く感じるとのことでした。

腕から指までしびれてるわ。
このような範囲にしびれがある場合、
姿勢による筋緊張が関係しているケースが参考として挙げられます。


烏口腕筋と神経の位置関係を理解する
上記の症状が出現した際は、烏口腕筋の関与を疑います。
烏口腕筋(うこうわんきん)は、肩前方の烏口突起から上腕骨につく筋肉です。
その筋腹の中を 筋皮神経(きんぴしんけい) が通過しています。
ポイントとしては前腕外側から橈骨遠位端に痺れが強いことです。
なぜ姿勢がしびれの一因になるのか
- 猫背や肩が前に入る姿勢 → 烏口腕筋が短縮
- 筋肉が硬くなる → 神経周囲のスペースが狭くなる
- 結果として不快感やしびれにつながるケースがある
烏口腕筋の特徴
- 肩関節の屈曲・内転・外旋に関与
- 上腕骨の位置調整にも影響
- 筋腹の中を筋皮神経が通る構造がポイント

しびれにつながりやすい日常姿勢とは?
ハナさんは、以下のような姿勢の特徴がありました。
姿勢による影響
- 頭部が前に出る
- 胸椎・腰椎が後弯
- 骨盤が後傾
- 右鎖骨が屈曲・下制
- 右肩甲骨の下方回旋・外転
- 右殿部に体重を乗せやすい


この姿勢が続くと、
烏口腕筋が短縮しやすく、肩前方の組織にもストレスがかかります。

こんなに姿勢が偏ってるなんて意識してないわ
猫背としびれの関係
胸・腰椎後弯、骨盤後傾すると広背筋の緊張が亢進します。
すると肩甲骨・上腕骨は骨盤帯へと引き付けられ、
肩甲骨は下方回旋、上腕骨は内旋に誘導されます。
更に胸椎後弯は肩甲骨が前傾・外転しやすくなります。
そのため猫背が日常的になると、烏口腕筋は短縮位をとり続けます。
筋肉が短縮し続けると、循環の悪化、緊張が高まります。
その為筋腹の間を通過している、筋皮神経にも影響が現れることがあります。
猫背が続くと、
筋肉の緊張 → 神経・血流へのストレス → しびれ
という流れが生じることがあります。
整形外科テスト
評価は上肢の下方牽引テスト、Edenテストが陽性となりました。
下方牽引テスト

Edenテスト
患側上肢を下垂させた状態で、橈骨動脈の拍動を確認した後、肩を後下方に誘導します。
姿勢を出来るだけ起こして顎を引くこともポイント。
その姿勢で橈骨動脈の拍動を確認します。

評価では、腕神経叢の影響・肋鎖症候群の可能性が挙げられました。
※ここでは医学的診断を行っているわけではなく、「テストによって不快感が再現されることがあった」という意味に留めています。
姿勢の改善と神経への負担を軽減するアプローチ
問題点
猫背と姿勢の偏りによって烏口腕筋の緊張が高まっている可能性がある
→筋皮神経を圧迫ししびれを起こしている可能性がある
まずは過剰に緊張した烏口腕筋をやさしく動かし、
負担を軽くするようにしました。
烏口腕筋の緊張をゆるめる試み
- 烏口突起の下方をやさしく指圧
- 上腕骨をストレッチ方向へ誘導
- 無理のない範囲で反復
烏口突起の下方を軽く指圧し烏口腕筋を触診します。
指圧すると疼痛が出た為、
もう片方の手で上腕骨を伸展・外転・内旋し伸張します。
伸張後もとに戻します。

この動作により、烏口腕筋の伸張・弛緩を繰り返します。
圧痛が徐々に軽減したため、自動介助運動へと切り替えます。
進める中で「ジンジンするような感覚」がありましたが、不快感はなかったため継続しました。
(不快感がある場合、血流を圧迫によって抑制している事がある為注意が必要です。)
本症例では無理のない範囲で、伸張と弛緩を繰り返し、
上腕・前腕部・手指のしびれが改善していきました。
追加で気をつけたいポイント
しびれが改善した後、上肢全体の重だるさ の訴えがありました。
こうした場合、肩甲骨や鎖骨周囲のアライメントが影響するケースもあります。
肩甲骨を
- 後傾
- 上方回旋
の方向に調整し、深呼吸を行うことで症状が軽減しました。
※これは一例であり、すべての方に同じ変化が起こるものではありません。
上記の経過から肩甲骨のアライメントにより、
鎖骨下動脈の絞扼も背景にあった可能性が挙げられました。
この背景により、上肢の重だるさの訴えが生じたと考えられます。

患者さんによっては、鎖骨下動脈の絞扼により手指に痺れが生じるパターンもあります。
どのケアで、どの部分に改善があったのかは確認すると関連性が理解しやすいです。
再評価を行う
上肢の牽引テスト、Edenテストを再評価し、症状の改善を確認しました。
ハナさんは猫背・姿勢の偏りにより、
烏口腕筋の緊張が亢進し、筋皮神経の絞扼が生じていました。
その為しびれが生じていたと考えられます。
しかし肩甲骨のアライメントから、鎖骨下動脈の絞扼も併発していたと考えられます。
自主訓練で取り組みたい基本の動作|再現しやすい姿勢づくり
姿勢に関連するしびれの場合、
日常の中で肩周りの位置を整える習慣 がとても大切です。
本症例の場合、
鎖骨の挙上・伸展、肩甲骨の後傾・内転・上方回旋を促すことが重要でした。
その為自主訓練として、肩甲骨を回す訓練を提案しました。

- 肩甲骨をゆっくり後方に大きく回す
- 顎を軽く引いて胸を広げる
- 鎖骨を後上方に持ち上げるイメージを作る
無理のない範囲で、数回ずつが目安です。
まとめ|姿勢が関係するしびれは“全体の動き”を捉えることが大切

今回のケースでは、
- 烏口腕筋が短縮しやすい姿勢
- 肩甲骨・鎖骨のアライメント変化
がしびれの一因になっていたと考えられます。
改善の流れは以下の通りです。
✔ 本症例のしびれケアの流れ(まとめ)
- しびれの出る範囲を整理する
- 姿勢の特徴を把握する
- 烏口腕筋をやさしく動かして緊張を緩める
- 肩甲骨の位置を整える
- 自主訓練で良い姿勢を維持する
おすすめ書籍
今回は烏口腕筋によって上肢のしびれが生じていました。
しかし、しびれの原因は非常に多岐にわたります。
中でも、胸郭出口症候群に関連する症状は、評価やアプローチによって変化が見られるケースも報告されており、臨床で見逃せないポイントの一つです。
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最後に(免責)
本記事は一般的な情報提供を目的としています。
目の前の患者さんへの適応可否は、各自の評価と専門職としての判断に基づいて実施してください。
患者さん一人ひとりで疾患・既往・身体特性が異なるため、記載内容がすべての方に同様の効果をもたらすとは限りません。
本記事を参考にして生じた損害等について、筆者は一切の責任を負いかねます。
あらかじめご了承ください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
以上、ユウセイでした。

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