
歩いていると、左足のふくらはぎが痛むわ

歩く時に痛みがあるのは辛いですね。

何気ない動きが、痛みの原因となるよ
一緒に評価してみよう
歩行中にふくらはぎの痛みを感じる方は、臨床の場でもよく見られます。
下肢に痛みがあると、無意識のうちに反対側へかばうような歩き方になり、結果的に負担が偏ってしまうことがあります。こうした影響を広げないためにも、どの場面で痛みが出るのかを丁寧に把握することが大切です。
今回は、歩行中にふくらはぎに痛みが出る方を例に、理学療法士としてどのように評価し、どのような視点で対応を検討するか を紹介します。
※個々の症状の原因はさまざまです。記事内容は一例であり、すべての方に当てはまるとは限りません。
既往歴と主訴を確認する
・黄色靭帯骨化症(左下肢のしびれ)
・腰椎圧迫骨折
・立ち上がる時、歩く時に左ふくらはぎが痛い
🔍️理学療法評価
症状の確認する
ハナさんの左腓腹筋内側頭に疼痛が生じているとのこと。
しびれは普段からあるも、疼痛はなかったとのこと。
タイミングとしては、
👉
・立ち上がり(Visual Analogue Scale以下VAS)40mm
・歩行の左立脚中期~後期(VAS)50mm

触診
左腓腹筋内側頭に圧痛あり
可動域を調べる
| 右 | 左 | ||
| 膝関節 | 屈曲 | 130 | 120 |
| 伸展 | -5 | -10 | |
| 足関節 | 背屈 | 10 | 10(P) |
| 底屈 | 45 | 40 |
(P)伸張時痛があり(VAS)20mm
姿勢を確認する
座位姿勢は
👉️
・頭部伸展
・頸部屈曲
・胸椎、腰椎の後弯
・骨盤後傾
・重心は右後方へ偏位


猫背傾向で、長時間座っていることが多い生活環境である。
また、左足部は以下の特徴が確認された。
✔️左母趾球が浮いている
✔️左足関節が内反位

立ち上がり・歩行を確認する
立ち上がり動作
立ち上がりの際に、
👉
・両上肢でプッシュアップ
・一度ではうまくいかず、勢いをつけて離殿
✔左下肢に体重が乗ると疼痛が生じる

歩行動作
歩行動作では歩行器を用いる

👉
・荷重が増える立脚中期〜後期に疼痛が生じる
・遊脚期では疼痛は緩和し、VAS0mm
🧩考察
今回左下腿に疼痛が生じる原因として、日常的に姿勢が崩れていることが問題と考える。
ハナさんの場合、
👉
・常時左足関節内反位
・重心が右後方にある
上記の問題点を精査し、疼痛の原因を確認していく。
常時左足関節内反位
日常的に足関節は内反位傾向にある。
👉
・腓腹筋内側頭が短縮傾向
・距骨下関節、踵骨回外位
そこから勢いをつけて立ち上がりを行うと、急激に距骨下関節、踵骨が回内し足関節は外反位となる。
この際に腓腹筋内側頭に急な伸張刺激が加わり、疼痛が生じる可能性が考えられる。

疼痛が継続する仮説
また左腓腹筋内側頭には圧痛、伸張痛も生じている。
筋攣縮とは筋が痙攣した状態であり,血管の攣縮を伴っていることが多い。(中略)筋攣縮の評価は圧痛所見,筋緊張,収縮痛,伸張痛をみることが重要となる。
赤羽根良和.痛みの理学療法シリーズ 足部・足関節痛のリハビリテーション.羊土社.2020,111-113.
上記の知見から、
👉️
・立ち上がりの際の伸張刺激が攣縮を生じさせた
・攣縮による適切に収縮、弛緩ができず歩行中も疼痛が継続
このように仮説を立てる
重心が右後方重心
根本の原因として、猫背姿勢に加えて、右後方重心となっている。
そのため、
👉
・円滑に重心を前方に移動できない
・左下肢への荷重が抜け、足部が浮きやすい
上記の反応が出やすく、
✔️離殿の際に、勢いをつける必要がある
✔️左足関節が内反位傾向になりやすい
これらの問題によって、腓腹筋内側頭が短縮しやすく、荷重をかけた際に伸張刺激が加わりやすいと考えられた。
💡ケアアプローチ
今回は腓腹筋内側頭の攣縮によって、疼痛が生じた可能性が挙げられた。
等尺性収縮を利用したケア
攣縮が疑われる場合、無理に引き伸ばすより、等尺性収縮(動かさずに力を入れる運動) が有効な場合がある。
等尺性収縮は関節を動かさずに筋収縮を得られるため、攣縮した筋への負担を抑えながら筋内の血流改善を促し、疼痛の緩和に役立つ場合がある。
①前足部を把持し、足を外反し方向へ動かそうとする力を、軽く止めてもらう。
※ここで内反し方向の収縮を促す


②その後力を抜いてもらいリラックスしてもらう。
③他動で伸張痛が生じない範囲で外返し方向に動かす

④疼痛が出る手前で止め、再度内反しへの等尺性収縮を促す。
①〜④を実施しつつ、段階的に外反位へと誘導する。
👉️
・圧痛、伸張痛がないかを確認
・疼痛がない範囲で段階的に繰り返す
段階的に動きを広げていく
ハナさんは等尺性収縮にて徐々に痛みが改善してきたため、
👉️
・自動介助運動
・自動運動
と疼痛がない範囲で難易度を上げていく。

ハナさんは自動運動を実施し
👉️
・動作時の疼痛なし
・伸張時痛なし
・圧痛なし
を確認。
その後立ち上がり・歩行を行っても疼痛なく実施可能となる。
まとめ

今回は立ち上がりや歩行中にふくらはぎの疼痛が生じるケースへの評価とケアを解説しました。
- 日常的な左足関節の内反傾向により腓腹筋内側頭が短縮し、勢いをつけた立ち上がりの際に急激な伸張刺激が加わり攣縮が生じていると考えられました。
- 根本の原因として猫背姿勢による右後方重心が、左下肢への荷重不足と内反傾向を助長していました。
- アプローチとして等尺性収縮を利用し、内反方向への収縮と弛緩を繰り返しながら段階的に外反位へ誘導しました。
- 疼痛のない範囲で自動介助運動・自動運動へと難易度を上げ、圧痛・伸張痛の消失を確認しました。
- ふくらはぎの痛みの背景には姿勢の崩れによる荷重偏位と足関節アライメントの問題が潜んでいることがあり、局所だけでなく全身の重心バランスを評価することが重要です。
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最後に(免責)
本記事は一般的な情報提供を目的としています。
目の前の患者さんへの適応可否は、各自の評価と専門職としての判断に基づいて実施してください。
患者さん一人ひとりで疾患・既往・身体特性が異なるため、記載内容がすべての方に同様の効果をもたらすとは限りません。
本記事を参考にして生じた損害等について、筆者は一切の責任を負いかねます。
あらかじめご了承ください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
以上、理学療法士 ユウセイでした。


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