
段差を登る時に膝がピリッと痛むの
なんでかしら?

膝が悪いんでしょうか?

そうかもしれない
でも、膝だけが原因じゃないかも!
段差を昇るときに膝が痛む…。
こうした悩みを抱える方は少なくありません。
膝の痛みが続くと、段差や階段を避けてしまい、外出の機会が減ってしまうこともあります。
今回は、段差昇段時に膝裏〜外側に痛みが出るケースについて、理学療法士の視点から「どんな動きが負担になっているのか」「どう改善を考えるのか」を解説します。
段差を昇るとき膝が痛むのはなぜ?|まずは疼痛部位を確認する
膝の痛みを考えるとき、最初に大切なのは 「どこが、どんな動作で痛むのか」 を整理することです。
どの動作で痛みが出るのか整理する

・段差を昇るとき、右膝の後ろ〜外側にピリッとした痛み
・特に「反対の足が地面から離れた瞬間」に痛みやすい
・歩行では痛みが出ないが、昇段で強く出る

このように、特定の動き(段差昇段)で痛みが集中するパターン は少なくありません。
膝裏〜外側に痛みが出るケースの特徴
膝裏〜外側の痛みは、
- 膝関節が外反方向にねじれやすい
- 大腿と下腿の回旋バランスが崩れやすい
といった特徴と関係するケースがあります。
扁平足や膝のアライメントは影響する?|足部・膝の評価ポイント
段差を昇るときの膝の負担は、実は足部のアーチや下肢の向き(アライメント)とも深く関係します。
扁平足の簡易チェック|too-many-toe-sign
立位で後方から見ると、
片側の足で 足趾が多く見える(too-many-toe-sign) という所見があります。
第4趾が見えれば注意しても良いかも知れません。

これは、
- 足部が扁平傾向
- 足内側アーチが低下
- 体重が母趾球側に偏りやすい
といった状態を反映している可能性があります。
膝の外反位と大腿・下腿のねじれを確認する
立位や座位で観察すると、
- 大腿骨が内旋
- 下腿骨が外旋
- 膝関節が外反位
- too-many-toe-sign陽性(母趾球にタコができている)


という組み合わせがみられることがあります。
これらは段差昇段の際に負担を増やしやすい姿勢です。

扁平足の傾向があるね

そうですね!
母趾球のところにもタコができてます
段差昇段動作を分析する|外反が強まると膝窩筋が負担に
昇段時に起きやすい膝のねじれパターン
段差を昇る瞬間、右膝は以下のアライメントが強まっていました。
- 大腿内旋
- 下腿外旋
- 膝外反
この組み合わせが重なると、膝裏や外側にある筋・靭帯に負担が増します。
膝窩筋にストレスがかかる理由
膝裏に位置する 膝窩筋(しつかきん) は、
- 下腿を内旋させる
- 膝関節を安定させる
役割があります。
しかし外反方向に強制され、膝窩筋が引き伸ばされると、
膝後面〜外側に痛みが出る場合があります。

アライメントを軽く修正すると疼痛が変化する場合も
- 大腿を少し外旋
- 下腿を軽く内旋方向へ誘導

こうした 軽いアライメント調整 を保持しながら段差を昇ると、
痛みが軽減するケースもあります。
強い力で矯正する必要はなく、あくまでも“動きの方向づけ”として行うことが大切です。
本症例では疼痛が上記の方法で緩和しました。

触ってもらっていると痛くないね。
最初は痛みが出そうで怖かったけど

恐怖感があるなら、
左の踵を上げるだけなど段階を踏んでも良いよ
改善を目指すアプローチ|股関節・足部の使い方を整える
問題点
昇段する時に膝が外反位が強制され、疼痛が出ている可能性がある
段差昇段で膝が外反しやすい場合、
股関節周囲の筋バランスが影響していることがあります。
大殿筋を働かせて大腿の外旋を促す
大殿筋の働きが弱いと、
- 大腿が内旋しやすい
- 膝の外反を助長する
という傾向があります。
そのため、
- 側臥位で大殿筋に働きかける
- 母趾球を床につけたまま「お尻を締める」意識
- 座位 → 立位 → 昇段の順で段階的に練習
といった方法が有効なことがあります。
本症例の場合常時大腿内旋しており、大殿筋の収縮は得られにくい状況です。
側臥位で図のように足を開いてもらうことで、活動を促せる場合があります。
普段から働きが弱い方だと、この動作も困難な場合があります。

足部の接地(母趾球)を活かした動作づくり
母趾球をしっかり接地するだけでも、
- 下肢の軸が安定
- 大腿の外旋方向への誘導がスムーズ
になりやすくなります。
そこで立位で母趾球を床に接地したまま、大腿を外旋へ動かしてもらいます。
最も簡便な方法は、母趾球を床に接地したままお尻を締める事です。
お尻を締めるのは骨盤底筋群の活動が重要です。
お尻を締めると大腿外旋を促す事が出来る場合があります。


案外、おしりを締めるのって難しいわ
ハナさんは意識的にお尻を締める事が、最初は出来ませんでした。
しかし繰り返すと、徐々に出来るようになりました。
難しい場合は座位から、お尻を締められるように意識していきます。
最終的には立位で出来るようにしていきます。
座位→立位→昇段の順で段階的に練習
いきなり段差で練習すると不安が強く、
膝が外反してしまいやすい方もおられます。
そのため、側臥位で大殿筋を働かせた後は
- 座位でお尻の締める感覚づくり
- 立位で大殿筋の軽い収縮を確認
- 支持物を使いながら軽く昇段動作
の順で行うと安全な場合が多い印象です。
自主訓練のポイント|日常で取り入れやすい方法
お尻を締める意識を定着させる
立位で、
- 母趾球を床につける
- お尻を軽く締める
これを1日数回、無理のない範囲で行うのがポイントです。

無理のない回数設定と注意点
- 朝・昼・晩に5回ほど
- 痛みがある日は控える
- ふらつきがある場合は支持物を使う
安全性を最優先に進めます。
痛みがある日は無理をしない
段差昇段の動きは負荷が高いため、
調子の良い日を選び、少しずつ取り入れます。
本症例では、1週間後の再評価時点でも疼痛の再燃はみられませんでした。
まとめ|段差昇段時の膝痛は足部と股関節の働きも関係する

チェックすべき3つのポイント
- 膝裏〜外側のどこが痛むのか
- 扁平足や膝の外反などのアライメント
- 昇段時の大腿・下腿のねじれ
本症例へのアプローチの流れ
- 軽いアライメント調整で昇段動作の疼痛が軽減するか評価
- 大殿筋の収縮を促す
- 母趾球を使った接地を意識
- アライメントを調整し膝窩筋の負担を軽減
動作の癖を理解することの大切さ
膝の痛みは膝だけが原因とは限らず、
足部や股関節、身体の使い方の癖が影響している場合があります。
今回の内容が、お役に立てば幸いです。
🍀もっと深く学びたい方へ
今回のように、姿勢や座り方の影響によって、
膝まわりに負担がかかり、痛みや違和感につながることがあります。
姿勢や身体の使い方を見直すことは、日常生活を安定させるための大切な第一歩です。
一方で、臨床の現場では、
こうした姿勢の崩れがどんな仕組みで膝関節に影響を及ぼすのかを
正しく観察し、サポートしていく力が求められます。
noteでは、学生・若手セラピスト向けに、
実際の症例をもとにした「膝関節の疼痛に対する評価とケアの考え方」を整理しています。
現場での観察視点や、評価・介入の組み立て方を図解を交えて解説しています。
日々の臨床をより深く理解したい方は、ぜひ参考にしてみてください。
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膝の痛みは、動作のクセや足部・姿勢の影響など、さまざまな要因が関係しています。
他の膝関連の症例も参考に、評価とリハビリの視点を深めましょう。
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最後に(免責)
本記事は一般的な情報提供を目的としています。
目の前の患者さんへの適応可否は、各自の評価と専門職としての判断に基づいて実施してください。
患者さん一人ひとりで疾患・既往・身体特性が異なるため、記載内容がすべての方に同様の効果をもたらすとは限りません。
本記事を参考にして生じた損害等について、筆者は一切の責任を負いかねます。
あらかじめご了承ください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
以上、ユウセイでした。

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