段差を昇ると膝が痛いのはなぜ?理学療法士が原因と改善方法を解説【CASE8】

医療者向け
ハナ
ハナ

段差を登る時に膝がピリッと痛むの

なんでかしら?

1年目ユウセイ
1年目ユウセイ

膝が悪いんでしょうか?

10年目ユウセイ
10年目ユウセイ

そうかもしれない

でも、膝だけが原因じゃないかも!

段差を昇るときに膝が痛む…。
こうした悩みを抱える方は少なくありません。

膝の痛みが続くと、段差や階段を避けてしまい、外出の機会が減ってしまうこともあります。
今回は、段差昇段時に膝裏〜外側に痛みが出るケースについて、理学療法士の視点から「どんな動きが負担になっているのか」「どう改善を考えるのか」を解説します。

段差を昇るとき膝が痛むのはなぜ?|まずは疼痛部位を確認する

膝の痛みを考えるとき、最初に大切なのは 「どこが、どんな動作で痛むのか」 を整理することです。

どの動作で痛みが出るのか整理する

ハナさん
ハナさん

・段差を昇るとき、右膝の後ろ〜外側にピリッとした痛み

・特に「反対の足が地面から離れた瞬間」に痛みやすい

・歩行では痛みが出ないが、昇段で強く出る

このように、特定の動き(段差昇段)で痛みが集中するパターン は少なくありません。

膝裏〜外側に痛みが出るケースの特徴

膝裏〜外側の痛みは、

  • 膝関節が外反方向にねじれやすい
  • 大腿と下腿の回旋バランスが崩れやすい

といった特徴と関係するケースがあります。

扁平足や膝のアライメントは影響する?|足部・膝の評価ポイント

段差を昇るときの膝の負担は、実は足部のアーチや下肢の向き(アライメント)とも深く関係します。

扁平足の簡易チェック|too-many-toe-sign

立位で後方から見ると、
片側の足で 足趾が多く見える(too-many-toe-sign) という所見があります。
第4趾が見えれば注意しても良いかも知れません。

これは、

  • 足部が扁平傾向
  • 足内側アーチが低下
  • 体重が母趾球側に偏りやすい

といった状態を反映している可能性があります。

膝の外反位と大腿・下腿のねじれを確認する

立位や座位で観察すると、

  • 大腿骨が内旋
  • 下腿骨が外旋
  • 膝関節が外反位
  • too-many-toe-sign陽性(母趾球にタコができている)

という組み合わせがみられることがあります。

これらは段差昇段の際に負担を増やしやすい姿勢です。

10年目ユウセイ
10年目ユウセイ

扁平足の傾向があるね

1年目ユウセイ
1年目ユウセイ

そうですね!

母趾球のところにもタコができてます

段差昇段動作を分析する|外反が強まると膝窩筋が負担に

昇段時に起きやすい膝のねじれパターン

段差を昇る瞬間、右膝は以下のアライメントが強まっていました。

  • 大腿内旋
  • 下腿外旋
  • 膝外反

この組み合わせが重なると、膝裏や外側にある筋・靭帯に負担が増します。

膝窩筋にストレスがかかる理由

膝裏に位置する 膝窩筋(しつかきん) は、

  • 下腿を内旋させる
  • 膝関節を安定させる

役割があります。

しかし外反方向に強制され、膝窩筋が引き伸ばされると、
膝後面〜外側に痛みが出る場合があります。

アライメントを軽く修正すると疼痛が変化する場合も

  • 大腿を少し外旋
  • 下腿を軽く内旋方向へ誘導

こうした 軽いアライメント調整 を保持しながら段差を昇ると、
痛みが軽減するケースもあります。

強い力で矯正する必要はなく、あくまでも“動きの方向づけ”として行うことが大切です。

本症例では疼痛が上記の方法で緩和しました。

ハナさん
ハナさん

触ってもらっていると痛くないね。

最初は痛みが出そうで怖かったけど

10年目ユウセイ
10年目ユウセイ

恐怖感があるなら、

左の踵を上げるだけなど段階を踏んでも良いよ

改善を目指すアプローチ|股関節・足部の使い方を整える

問題点

昇段する時に膝が外反位が強制され、疼痛が出ている可能性がある

段差昇段で膝が外反しやすい場合、
股関節周囲の筋バランスが影響していることがあります。

大殿筋を働かせて大腿の外旋を促す

大殿筋の働きが弱いと、

  • 大腿が内旋しやすい
  • 膝の外反を助長する

という傾向があります。

そのため、

  • 側臥位で大殿筋に働きかける
  • 母趾球を床につけたまま「お尻を締める」意識
  • 座位 → 立位 → 昇段の順で段階的に練習

といった方法が有効なことがあります。

本症例の場合常時大腿内旋しており、大殿筋の収縮は得られにくい状況です。

側臥位で図のように足を開いてもらうことで、活動を促せる場合があります。

普段から働きが弱い方だと、この動作も困難な場合があります。

足部の接地(母趾球)を活かした動作づくり

母趾球をしっかり接地するだけでも、

  • 下肢の軸が安定
  • 大腿の外旋方向への誘導がスムーズ

になりやすくなります。

そこで立位で母趾球を床に接地したまま、大腿を外旋へ動かしてもらいます。

最も簡便な方法は、母趾球を床に接地したままお尻を締める事です。

お尻を締めるのは骨盤底筋群の活動が重要です。
お尻を締めると大腿外旋を促す事が出来る場合があります。

ハナさん
ハナさん

案外、おしりを締めるのって難しいわ

ハナさんは意識的にお尻を締める事が、最初は出来ませんでした。
しかし繰り返すと、徐々に出来るようになりました。

難しい場合は座位から、お尻を締められるように意識していきます。
最終的には立位で出来るようにしていきます。

座位→立位→昇段の順で段階的に練習

いきなり段差で練習すると不安が強く、
膝が外反してしまいやすい方もおられます。

そのため、側臥位で大殿筋を働かせた後は

  1. 座位でお尻の締める感覚づくり
  2. 立位で大殿筋の軽い収縮を確認
  3. 支持物を使いながら軽く昇段動作

の順で行うと安全な場合が多い印象です。

自主訓練のポイント|日常で取り入れやすい方法

お尻を締める意識を定着させる

立位で、

  • 母趾球を床につける
  • お尻を軽く締める

これを1日数回、無理のない範囲で行うのがポイントです。

無理のない回数設定と注意点

  • 朝・昼・晩に5回ほど
  • 痛みがある日は控える
  • ふらつきがある場合は支持物を使う

安全性を最優先に進めます。

痛みがある日は無理をしない

段差昇段の動きは負荷が高いため、
調子の良い日を選び、少しずつ取り入れます。

本症例では、1週間後の再評価時点でも疼痛の再燃はみられませんでした。

まとめ|段差昇段時の膝痛は足部と股関節の働きも関係する

チェックすべき3つのポイント

  • 膝裏〜外側のどこが痛むのか
  • 扁平足や膝の外反などのアライメント
  • 昇段時の大腿・下腿のねじれ

本症例へのアプローチの流れ

  1. 軽いアライメント調整で昇段動作の疼痛が軽減するか評価
  2. 大殿筋の収縮を促す
  3. 母趾球を使った接地を意識
  4. アライメントを調整し膝窩筋の負担を軽減

動作の癖を理解することの大切さ

膝の痛みは膝だけが原因とは限らず、
足部や股関節、身体の使い方の癖が影響している場合があります。
今回の内容が、お役に立てば幸いです。

🍀もっと深く学びたい方へ

今回のように、姿勢や座り方の影響によって、
膝まわりに負担がかかり、痛みや違和感につながることがあります。

姿勢や身体の使い方を見直すことは、日常生活を安定させるための大切な第一歩です。

一方で、臨床の現場では、
こうした姿勢の崩れがどんな仕組みで膝関節に影響を及ぼすのか
正しく観察し、サポートしていく力が求められます。

noteでは、学生・若手セラピスト向けに、
実際の症例をもとにした「膝関節の疼痛に対する評価とケアの考え方」を整理しています。

現場での観察視点や、評価・介入の組み立て方を図解を交えて解説しています。
日々の臨床をより深く理解したい方は、ぜひ参考にしてみてください。

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膝の痛みは、動作のクセや足部・姿勢の影響など、さまざまな要因が関係しています。
他の膝関連の症例も参考に、評価とリハビリの視点を深めましょう。

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最後に(免責)

本記事は一般的な情報提供を目的としています。

目の前の患者さんへの適応可否は、各自の評価と専門職としての判断に基づいて実施してください。

患者さん一人ひとりで疾患・既往・身体特性が異なるため、記載内容がすべての方に同様の効果をもたらすとは限りません。

本記事を参考にして生じた損害等について、筆者は一切の責任を負いかねます。

あらかじめご了承ください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

以上、ユウセイでした。

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