こんにちは、ユウセイです。
理学療法士として病院・施設・在宅と関わりを持ち、経験も10年以上になりました。
今はその経験を活かして理学療法士としての治療と考え方を日々発信しています!

昨日寝た時、右手が冷えて、寝れなかったわ
あと右胸が、少し重たくて、息がしにくいのよね

え、大丈夫ですか?
念の為病院に、行ったほうが良いんじゃないですか?

でも右胸が少し重だるい程度だから

それでも、息がしにくいのはおかしいね
評価してみようか!
いきなり息がしにくい!と言われたらびっくりしますよね。
突然こういった悩みを、言われる事があります。
そんな時知識があれば、セラピストにもできる事があります。
今回は上肢の冷えと、胸の息苦しさを訴える方への対応を解説します。
症状を確認しよう
テストで病態を把握する
原因の仮説を立てる
症状を確認しよう
ハナさんの症状
冷えが右肩〜指先に腹側・背側に生じる
右胸〜右脇腹に疼痛・重だるい感覚がある

左胸と比較し、右胸では深く呼吸する事ができません。
吸うと疼痛で呼吸が浅くなります。

姿勢を確認する



テストで病態を把握する
上肢を他動で90度挙上すると、右胸の違和感・疼痛が強まります。
下げると緩和するとのこと。

林らは上肢挙上時に肩から上肢にかけての疼痛が特徴的である。小胸筋が攣縮状態にある場合,上肢挙上に伴う神経・血管の圧迫が強く加わり、疼痛が出現する。¹⁾と述べている。
上記の知見に併せ、小胸筋を触診すると圧痛、胸の重だるさが増しました。
上肢を挙上すると症状が強まる
小胸筋を触診すると症状が強まる
1)林典雄.改訂第2版運動療法のための機能解剖学的触診技術. 青木隆明(監修),株式会社メディカルビュー社,2012,215-216.
原因の仮説を立てる
今回の訴えに関して、小胸筋の関与が疑われました。
小胸筋深部には、腋窩動脈及び静脈、腕神経叢が通過しています。
小胸筋の攣縮により、腋窩動脈が絞扼されると、上肢の冷えが生じます。

また腋窩動脈が絞扼されることによって、肩甲下動脈、外側胸動脈の血流も制限されます。

肩甲下動脈は分岐し、肩甲回旋動脈と胸背動脈に別れます。
前者は小円筋、棘下筋、後者は広背筋と大円筋に分布しています。
外側胸動脈は前鋸筋、大胸筋、小胸筋に分布しています。
これらの血流が絞扼されることで、右胸~脇腹に重だるい違和感と、吸気時の疼痛が生じていたと考えられます。
腋窩動脈の絞扼で右上肢が冷える
腋窩動脈の絞扼で違和感・疼痛が生じる
小胸筋を触知し、疼痛が強まらない範囲で、上肢を伸展・内転・内旋へ、誘導していきます。
肩甲骨を下方回旋・前傾方向に誘導し、小胸筋を短縮位にできます。

続いて、疼痛が強まらない範囲で、上肢を屈曲・外転・外旋方向へ誘導していきます。

この動作を繰り返し、小胸筋の短縮・伸張を反復し、攣縮を改善させます。
治療を開始してから、触診部位から脈打つ感覚が出ました。
同時にハナさんも右手、右胸が温かくなってきたとの発言あり、継続しました。
その後、深く呼吸をしても、疼痛・違和感が生じないとの事で、治療を終了しました。
自主訓練
小胸筋の柔軟性と攣縮を、抑制する為の自主訓練として、自宅内の手すりで、肩を挙上したままのスクワットを提案しました。

柔軟性と攣縮の予防の為、スクワットは一度に何回もしてもらうのではなく、適宜気づいた時に数回してもらうように提案しました。
1週間後、寝る際の右手の冷えと、胸の違和感・疼痛が改善した事を確認しました。
その為自主訓練を、継続してもらうようにお願いしました。
まとめ

今回は上肢の冷えと、胸の息苦しさを訴える方への対応を解説しました。
治療の手順は、以下の通りとなります。
症状を確認しよう
テストで病態を把握する
原因の仮説を立てる
冷え性の方は多いので、見落としてしまいそうになりますが、血管の絞扼によって、冷えや息苦しさが生じる事があります。
疾患によるものもありますので、全てとは言えませんが、セラピストによる知識・技術が、役に立つ場面もあります。
今回のように、突然症状が出た方に関しては、不安・恐怖感を感じます。
理由が分かるだけでも、非常に安心されますので、筆者自身も見落とさないように、注意していきたいなと考えます。
おすすめ書籍
今回は小胸筋の攣縮によって、上肢の冷え、胸の息苦しさが、生じていましたが、これの限りではありません。
よく胸郭出口症候群とまとめられますが、症状・原因は、多岐にわたり、個人差もあります。
特に血管系、神経系からの問題で生じる、上肢の冷え・しびれに関しては、治療を行う場合に知識・技術が必要です。
しかし理屈はわかってもどのように治療をしたら良いか分からない、効果を出せない。
これは筆者自身の経験でもあります。
そんな同じような悩みを感じている先生方、実習生の方々に、是非おすすめしたい本があります。
胸郭出口症候群以外にも、肩関節の疾患ごとに、概要と評価、治療も細かく記載されており、非常に参考になりました。
明日から使える知識がてんこ盛りです。
筆者自身、内容を咀嚼するのに何度も何度も読み返しました。
読めば読むほど、この本に出会うまでに学んできた技術、知識が、結びつくような感覚を覚えました。
とにかくおすすめですので、一読頂けますと幸いです。
最後に
この記事を参考にされる際は、目の前の患者さんに、紹介した評価・治療が適応できるか、判断して頂いたうえで、使用して頂ければ幸いです。
患者さん一人一人、疾患、既往歴、身体的特徴等異なります。
そのため、今回ご紹介した治療は、万人に対して、再現性を担保できるものではありません。
それらを踏まえた上で、参考にして頂ければ幸いです。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
以上、ユウセイでした。

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