こんにちは、ユウセイです。
理学療法士として病院・施設・在宅と関わりを持ち、経験も10年以上になりました。
今はその経験を活かして理学療法士としての治療と考え方を日々発信しています!
1日中手がしびれてるのよね。何とかならないかしら。
しびれに関して困っている方は多いですよね。
そうだなぁ、しびれは患者さんにとって非常に不快になる。
なんとかしてあげたいでな。
しびれは患者さんにとって非常に不快な感覚となります。
日常からしびれを感じているだけで生活の質が下がることもあります。
疾患特有のものもありますが、姿勢の問題から起きているしびれも多々目にします。
姿勢が原因で生じているしびれを詳しく解説していきます。
前腕、手指の痺れは烏口腕筋を疑う
腕から指までしびれてるわ。
ハナさん しびれの評価
この患者さんでは右上腕、右前腕外側、右母指から小指の腹側面にしびれが生じており、特に前腕外側から橈骨遠位端に生じています。
ポイントとしては前腕外側から橈骨遠位端に痺れが強いことです。
このような症状が出現した時は烏口腕筋の関与を疑います。
烏口腕筋は烏口突起から上腕骨に付着している筋肉なのですが、筋腹の中を筋皮神経が通過しています。
その為烏口腕筋が何らかの原因で緊張しこの神経を絞扼してしまうとしびれ、疼痛が生じる可能性があります。
烏口腕筋の作用(肩関節屈曲・内転・外旋)
前腕外側〜橈骨遠位端のしびれは烏口腕筋を疑う
烏口腕筋の筋腹の中に筋皮神経が通過している
しびれを起こしやすい姿勢とは
ハナさん 姿勢の評価
頭部は伸展、頚椎の前弯は減少しています。
胸椎・腰椎は後弯し、骨盤が後傾している姿勢です。
この患者さんは右臀部に体重が乗っており、右鎖骨が下制・屈曲。
右肩甲骨が下方回旋・外転しています。
胸腰椎の後弯、骨盤が後傾してくると付着している広背筋の緊張が亢進していきます。
緊張が亢進していくと肩甲骨、上腕骨は骨盤帯へと引き付けられるため、肩甲骨は下方回旋、上腕骨は内旋方向に誘導されます。
胸椎が後弯していくと肩甲骨が前傾・外転していきます。
その状態が継続すると烏口腕筋は短縮位をとり続けることになります。
筋肉の収縮と伸張する機会が減少し、循環の悪化が生じます。短縮位が日常になるため緊張も亢進していきます。
そのため、筋肉の間を通過している筋皮神経にも影響が現れます。
整形外科テストでは上肢の下方牽引テストとEdenテストが陽性となりました。
下方牽引テスト
Edenテスト
患側上肢を下垂させた状態で橈骨動脈の拍動を確認した後、肩を後下方に誘導する。
その際に姿勢をできるだけ起こした状態で顎を引くこともポイント。その姿勢で橈骨動脈の拍動を確認する。
猫背の姿勢は肩甲骨のアライメントが崩れ烏口腕筋が短縮しやすくなる
整形外科テストにより腕神経叢の影響・肋鎖症候群の疑いがある
姿勢が原因の痺れを改善させる方法
烏口突起の下方に軽く圧をかけます。
圧を加えた際に疼痛が出ていたため、もう片方の手で上腕骨を伸展・外転・内旋方向に誘導して伸張していきます。
この動作により烏口腕筋の伸張と弛緩を繰り返していきます。
この段階で圧痛が徐々に軽減したため、自動介助運動へと切り替えます。
この時腕がジンジンするような感じがすると発言がありました。
不快感ではないとのことで継続しました。
無理のない範囲で伸張と弛緩を繰り返していくと上腕、前腕部、手指のしびれが改善していきました。
しかししびれは改善したが上肢全体が重たいとの訴えがありました。
肩甲骨の後傾と上方回旋を促したところ、症状が改善しました。
その為肩甲骨の後傾と上方回旋を誘導した状態で深呼吸をしてもらうい、緊張を整えました。
その後肩甲骨から手を離した後も症状が改善しましたので、上肢の牽引テスト、Edenテストを再評価し改善を確認しました。
この患者さんでは不良の姿勢から烏口腕筋の緊張が亢進し、筋皮神経の絞扼が生じていました。
そのためしびれが生じていたと考えられます。
しかし肩甲骨のアライメントから鎖骨下動脈の絞扼も背景にあった患者さんとなります。
患者さんによっては鎖骨下動脈により手指に痺れが生じているパターンも有ります。
どの治療でどの部分に改善があるのかは患者さんごとに確認しておきたいところです。
前腕外側〜橈骨遠位端のしびれは烏口腕筋の短縮により筋皮神経が絞扼されていた
猫背により鎖骨下動脈が圧迫された為、整形外科テスト陽性+上肢に違和感が生じていた
自主訓練の提案
鎖骨の挙上・伸展、肩甲骨の後傾・内転・上方回旋を促す自主訓練として肩甲骨を回す訓練を提案しました。
猫背を修正し肩甲骨のアライメントを整える為に行います
まとめ
今回は姿勢が原因で起きる上肢のしびれに関して詳しく解説しました。
今回烏口腕筋の緊張が亢進したことによって、上肢のしびれが生じていました。
烏口腕筋の緊張を緩和したことによって、筋皮神経の絞扼が改善したと考えられます。
しかしその後の上肢の重だるさに関しては、鎖骨下動脈の絞扼が考えられます。
肩甲骨を上方回旋、後傾に誘導することによって鎖骨下動脈の絞扼を改善したことによって重だるさが改善したと考えられます。
オススメ書籍
今回は烏口腕筋の緊張によって上肢のしびれが生じていましたが、痺れの原因は多岐にわたります。
その際にどうしようもなかった痺れもあるのは事実ですが、改善できるしびれがあったのは記事の通りです。
改善できる可能性がある痺れとしては胸郭出口症候群が挙げられます。
しかし理屈はわかってもどのように治療をしたら良いかわからない、効果を出せない。
これは筆者自身の経験でもあります。
そんな同じような悩みを感じている先生方、実習生の方々に是非オススメしたい本があります。
胸郭出口症候群以外にも肩関節の疾患ごとに概要と評価、治療も細かく乗っており非常に参考になりました。
明日から使える知識がてんこ盛りです。
筆者自身、内容を咀嚼するのに何度も何度も読み返しました。
読めば読むほど、この本に出会うまでに学んできた技術、知識に結びつくような感覚を覚えました。
とにかくオススメですので、一読頂けますと幸いです。
最後に
この記事を参考にされる際は、目の前の患者さんに紹介した評価・治療が適応できるか判断していただいた上で使用して頂ければ幸いです。
患者さん一人一人、疾患、既往歴、身体的特徴等異なります。
そのため、今回ご紹介した治療は万人に対して、再現性を担保できるものではありません。
それらを踏まえた上で参考にして頂ければ幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
以上、ユウセイでした。
コメント