
起き上がる時、腰が痛いです
どうしたらいいでしょうか

腰をほぐしたらいいですかね、、

それも一つの方法だけど、何で腰痛が起きてるのか評価してみよう!
起き上がりは、生活を始めるうえで欠かせない基本的な動作です。
この動作がうまくできないと、生活の場がベッド上に限られてしまい、活動範囲や自立度が大きく制限されてしまいます。
一方で、起き上がりがスムーズになることで、生活の質(QOL)が大きく改善することもあります。
今回は、「起き上がるのがつらい…」と感じている方に向けて、原因の見極めと対応のポイントを理学療法士の視点から解説します。
腰痛の部分、範囲を確認する|動作との関連を把握
寝返り動作で腰痛の原因を見極める
電動ベッドを活用する時の注意点と起き上がりのポイント
腰痛の部分、範囲を確認する|動作との関連を把握
腰椎の圧迫骨折の既往あり
腰椎が右側弯変形
右側から起き上がりを行うと右腰部に疼痛が出現する
ハナさんの起き上がり
電動ベッドを使用
ベッドの介助バー取り付け済み
右寝返り~onelbowまで

柵を両上肢で引き付け、左足底でベッドを蹴りながら右側へ寝返ります。
寝返りの際にも、右腰部にVAS4〜5の疼痛が生じます。
右側臥位から両下肢をベッドから下垂させ、柵を両上肢で引き付けてonelbowまで移行します。
上肢で引きつけなければ、onelbowまで移行は困難。

onelbowからonhandまで

onhandに移行する際にも、左上肢で柵を引き付けるように行います。
ハナさんは腰椎が右側弯変形しています。
起き上がりの際は体幹が左側屈し、右体幹が伸張されます。
この時に右腰部に強い疼痛が生じます。
疼痛としてはVAS7〜8との事。
座位に移行しても疼痛が継続します。
右側臥位〜onelbowでは両上肢で柵を引き付けて行う
onelbow~onhandでも同様に柵を把持するが右腰部に疼痛が生じる
寝返り動作で腰痛の原因を見極める
ハナさんは寝返りでも疼痛が生じています。
起き上がりの前段階である寝返りを評価します。
ハナさんの寝返り方法

ハナさんが寝返る際にベッドを蹴ります。
ベッドを蹴る際に腹圧を高める事が出来ない場合、腰部の筋肉が過剰に働きます。
その結果腰痛が出やすくなります。
ハナさんは頭頸部の屈曲が苦手であり、これも腹圧低下に繋がります。
寝返りは起き上がりの前段階です。
寝返りが改善すると、起き上がりが改善する場合は多いです。
出来るなら腹部の力で寝返りができるように、訓練を提案していきましょう。

寝返りも腰痛の原因になっているのね。
寝返りの際に腰痛が生じる
頭頸部の屈曲が出ず、腹圧が入りにくい
電動ベッドを活用する時の注意点と起き上がりのポイント
電動ベッドの落とし穴
起き上がりの際に電動ベッドを使用する事で、腰部の負担を軽減出来ます。
しかしいくつか注意しなければ、腰痛を増悪させる事があります。
実際にハナさんに電動ベッドを使用して、起き上がりを促していきます。
まず右側臥位になり足を下垂させます。
そこから背上げ機能を用いて、起き上がりへと移行していきます。
その際に注意ですが、背上げ中は後方に体が倒れやすくなります。
この際に捻じれや恐怖心による過緊張で、腰痛が出現する場合があります。
背中にクッション、掛け布団を丸めて挟むのも効果的です。
一番注意したいのは起き上がり開始時に、体が下にずれている事です。
ベッドにも曲がる関節があります。
下にずれた状態で背上げを行うと、股関節ではなく腹部・肋骨部位から左側屈に強制されます。
この際に最も腰痛が出現しやすいです。
また左側腹部も過度に圧縮されますので注意します。
背上げ機能を使うと、身体が否応なく下にずれます。
見越して開始時は、身体が下にずれていないか確認しましょう。

側臥位でベッドを挙上する際、背中にクッションを挟む
電動ベッドの背上げの際は、どこが曲がるか確認する
背上げ開始時、身体が下にずれている場合がある
患者さんと介助者を守る介助シート

ベッドの上方に上がる時、スライディングシート使ってな
腰痛の患者さんに喜んでもらえるで

セラピストの腰も守ってくれますし、いい事づくしですね

夜寝る時は、できるだけ枕側に寄ってから寝るといいよ
起き上がるときに腰痛を軽減するワンポイント
ハナさんは腰椎右側弯しています。
その為右側臥位は右腰部が、伸張位になり負担がかかります。
フラットの角度から起きず、ベッドの背上げで支えてもらいつつ起きましょう。
背上げした後、枕から頭を離して起きます。
その際に左手でベッドを下に押すようにしてもらいます。
腹圧が高まり腰痛が軽減する事があります。

ハナさんの足底で蹴る寝返りを修正しました。
併せて電動ベッドを用いての、起き上がりにより疼痛が改善しました。
onelbow~onhandの際に、左手でベッドを押す事で腹圧を高めた事も功奏しました。
2週間後左手でベッドを押す事に慣れた為、両上肢で柵を引き付けずとも、起き上がれるようになりました。
寝返りの改善と腹圧を自力で高める事が出来、腰痛なく起き上がる事が出来たと判断します。

必要であれば反対側から、起きるのも有効ですね
必要に応じて寝返りを修正
電動ベッドを利用する
上肢を用いて腹圧を高める
まとめ

今回は起き上がりが辛いと悩む方への対応を解説しました。
治療の手順としては、以下の通りになります。
腰痛の部分、範囲を確認する|動作との関連を把握
寝返り動作で腰痛の原因を見極める
電動ベッドを活用する時の注意点と起き上がりのポイント
普段から寝返りにより、腰部に負担をかけている場合があります。
その場合腹圧を高めて、寝返りが出来るように支援します。
また電動ベッドを利用するのも一つです。
しかし可動部分を必ず確認し、腰痛を増悪させないように注意しましょう。
起床時の腰痛は、寝返りや姿勢の崩れ、体幹の使い方が影響していることがあります。
以下の記事も参考に、より広い視点で評価・対応のヒントを得てみましょう。
✅ 腰が痛いのは歳のせい?理学療法士が姿勢から読み解く原因と改善策を解説【CASE7】
✅ 寝返りで横腹が痛い原因とは?理学療法士がみるべきポイントを解説【CASE25】
✅ トイレまで我慢できない原因は?便失禁を防ぐためのリハビリ方法を理学療法士が解説【CASE16】
最後に
この記事を参考にされる際は、目の前の患者さんに、紹介した評価・治療が適応できるか、判断して頂いたうえで、使用して頂ければ幸いです。
患者さん一人一人、疾患、既往歴、身体的特徴等異なります。
そのため、今回ご紹介した治療は、万人に対して、再現性を担保できるものではありません。
それらを踏まえた上で、参考にして頂ければ幸いです。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
以上、ユウセイでした。

Instagramで最新記事のお知らせをしています!是非フォローをよろしくお願いします。(koturiha_y.t)
コメント