知っておきたい! 肩甲骨のみかた

豆知識

こんにちは、ユウセイです。

理学療法士として病院・施設・在宅と関わりを持ち、経験も10年以上になりました。

今はその経験を活かして理学療法士としての治療と考え方を日々発信しています!

10年目ユウセイ
10年目ユウセイ

今日は肩甲骨のアライメントをどう評価するか伝えるで。

1年目ユウセイ
1年目ユウセイ

肩関節の治療をするうえでとっても大事ですよね。

肩甲骨をみるうえで知っておきたいポイント!

肩甲骨のアライメントを確認する

フォースカップルとは

治療方法を工夫する

肩甲骨のアライメントを確認する

患者さんで下の図のような姿勢をとっていることがあります。

腹筋や背筋の必要な収縮が少なくなる傾向があります。

靭帯などの支持も使用することが出来るため楽な姿勢になります。

そのため身体に問題を抱えている患者さんは多くはこのような姿勢をとっていることが多いです。

しかしこの姿勢は胸椎が後弯してくるため肩甲骨が外転、下方回旋に誘導されることがあります。

広背筋は胸椎にも付着しており、この猫背の姿勢が常態化すると上腕骨を内旋方向にひきつけてしまうことがあります。

また肩甲骨を下方回旋する作用もあるため、猫背のまま広背筋の緊張が亢進すると、上肢を上げる際に制限因子になります。

肩甲骨が下方回旋されてしまうと関節窩と上腕骨頭のアライメントが崩れてしまい安定性が低下し、肩関節周囲の緊張の亢進、疼痛が出現する可能性があります。

僧帽筋、菱形筋、肩甲挙筋の緊張が増加し背部痛、頚部痛の原因にもなります。

1年目ユウセイ
1年目ユウセイ

あぁ!言われてみればですね。

10年目ユウセイ
10年目ユウセイ

しかもこの状況だと上腕骨と肩甲骨が協調して動くのも難しい。

フォースカップルとは

肩関節の安定性や運動は肩周囲の筋肉が協調的に働くことによって保たれています。

例えば僧帽筋の各線維と前鋸筋によって肩甲骨を胸郭に固定しつつ、肩甲骨の上方回旋運動が行われます。¹)

他にも肩関節外転時は三角筋と腱板構成筋によって協調的に働いています。¹)

これらをフォースカップルといいます。

1年目ユウセイ
1年目ユウセイ

その協調性が崩れると肩が上げにくくなったり、痛みが出たりしそうですね。

参考文献

1)松尾善美.臨床実践 肩関節の理学療法.第一版,橋本雅至(編),文光堂,2018,16-26

2)Neumann DA.筋骨格系のキネシオロジー.原著第2版,嶋田智明ほか(監訳),医歯薬出版,2012,137-194.

フォースカップルの破綻

先程のような猫背になると肩甲骨が外転方向に誘導されやすくなります。

そうなると前鋸筋の緊張が緩んでしまい肩甲骨が上方回旋する動力を失ってしまいます。

猫背は胸椎を屈曲させると共に、肩甲骨を前傾・下方回旋させやすく、肩関節を内旋させるため大胸筋・小胸筋を短縮させる傾向にあります。

そのため僧帽筋中部線維、下部線維も伸張されてしまい相反抑制の観点から活動を起こしにくくなります。

結果肩関節を挙上する際に肩甲骨が先行した方法となります。

この運動では肩甲骨の挙上は生じますが、肩甲骨の後傾、上方回旋、内転は生み出すことが出来ないため、肩関節の可動域には制限が生じます。

1年目ユウセイ
1年目ユウセイ

肩甲骨が先行して挙上すると、肩は屈曲できないですね。

猫背の姿勢は肩甲骨が外転に誘導され前鋸筋が働きにくくなる

猫背の姿勢は肩甲骨前傾・下方回旋させ大胸筋・小胸筋を短縮させる

猫背は僧帽筋中部・後部繊維の働きを弱める

治療方法を工夫する

10年目ユウセイ
10年目ユウセイ

いきなり肩を持ち上げて訓練するのが難しい場合は、方法を工夫するで。

肩関節をいきなり挙上することが困難な患者さんもいますね。

そんな時は肩関節の可動域訓練を工夫します。

肩を持ち上げるのではなく、上肢を固定し、後方にステップをしていきます。

これにより無理なく肩関節の可動域を拡大させることができます。

疼痛が出る場合は出ない範囲で行いましょう。

机を押しながらステップバックすることで前鋸筋の促通になり肩甲骨を上方回旋できます。

その際に胸椎を伸展しつつ肘窩を内側から正面に向けることで肩甲骨が後傾、内転方向に促されます

そのため大胸筋、小胸筋が伸張され、僧帽筋が収縮するチャンスを作ることが出来ます。

1年目ユウセイ
1年目ユウセイ

この方法なら負担が少なく、普段働いていない筋肉も働きやすそうですね。

10年目ユウセイ
10年目ユウセイ

一番代償が入りやすいのが上肢を持ち上げるときだからね。

あえて持ち上げないようにしていくのも一つの手だよ。

まとめ

今回は臨床で知っておきたい肩甲骨のみかたを詳しく解説しました。

肩甲骨の見方としては以下の知識で確認していきます。

肩甲骨をみるうえで知っておきたいポイント!

肩甲骨のアライメントを確認する

フォースカップルとは

治療方法を工夫する

肩甲骨のアライメントが崩れることで肩関節に疼痛が生じてしまったり、頭痛、頚部痛、めまいなど多種、多様な症状が出現する場合があります。

そういった症状が出た際に治療できるのは素晴らしい事ですが、疼痛が出る前に予防していくことも重要だと感じます。

今回の記事が皆様のお役に立てば幸いです。

最後に

この記事を参考にされる際は、目の前の患者さんに紹介した評価・治療が適応できるか判断していただいた上で使用して頂ければ幸いです。

患者さん一人一人、疾患、既往歴、身体的特徴等異なります。

そのため、今回ご紹介した治療は万人に対して、再現性を担保できるものではありません。

それらを踏まえた上で参考にして頂ければ幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

以上、ユウセイでした。

コメント