CASE25 寝返ると横腹が痛い どこをみたらいいの?

リハビリ記録

こんにちは、ユウセイです。

理学療法士として、病院・施設・在宅と関わりを持ち、経験も10年以上になりました。

今は理学療法士としての治療と、考え方を日々発信しています!

タケシさん
タケシさん

寝返ると横腹がじわじわと痛い

なんでなんだろう?

1年目ユウセイ
1年目ユウセイ

腰じゃなくて、横腹が痛いんですね

10年目ユウセイ
10年目ユウセイ

腰が痛い事が多いけど、脇腹が痛む事もあるね

一緒に評価してみようか

寝返りをする際に、疼痛が生じてしまうケースを、しばしば経験しませんか?

その場合、疼痛が生じない側にばかりに、寝返りをしてしまう、ケースも散見されます。

その影響で、アライメントの左右差が生じてしまったり、床ずれなどの問題が生じてしまうこともあります。

寝返りの際の疼痛として、側腹部にも疼痛が生じるケースがあります。

今回は側腹部に、疼痛が生じるケースに対しての、対応を詳しく解説します。

治療の手順

疼痛が出ている部位を確認する

寝返り動作を確認する

問題点を整理する

問題点を治療する

疼痛が出ている部位を確認する

脊髄不全損傷(頸椎)

四肢にしびれあり

ブルンストロームステージ(両側ともに上肢Ⅳ 下肢V 手指Ⅴ)

日中はベッド臥床傾向

トイレはなんとか、歩行器で移動できる



疼痛が出ているのは、右側腹部になります。

本人からじわじわと、痛むとのことでした。

側臥位になり、時間が経てば、症状が改善してきます。


しかし疼痛があるため、右側に寝返りたくないとのこと。

右側に寝返えると右側腹部に疼痛が生じる

寝返りしばらくすると疼痛が緩和する

寝返り動作を確認する


左足でベッドを蹴りつつ、左上肢をベッド柵に伸ばし、引きつけるようにしながら、寝返りを行います。

柵を持たずに寝返りを行うと、かなり努力性となります。

また途中で動きが、止まってしまいます。

肩甲骨を支えて誘導すると、若干右側腹部の疼痛が改善しました。

体幹の回旋可動域は、左回旋25度、右回旋15度と、右回旋制限がありました。

また右回旋の評価時に、右側腹部に疼痛が生じました。

更に右回旋最終域で、右外腹斜筋の緊張が、高いことが確認されました。

右外腹斜筋の筋腹を、右回旋方向に誘導すると、可動域が若干増加しました。

寝返りは柵を把持し、左足でベッドを蹴る

肩甲骨から介助すると、疼痛が緩和する

体幹右回旋に制限があり、右外腹斜筋が高緊張

問題点を整理する

疼痛が生じた要因として、体幹右回旋制限が、挙がりました。

石井らは体軸内回旋は主として胸椎で起こり,主動作筋は上側の(左に寝返るときには右側の)外腹斜筋と下側の(左に寝返るときには左側の)内腹斜筋である¹⁾と述べています。

上記の知見から、右側に寝返る際、左側の外腹斜筋と、右側の内腹斜筋が主動作筋になると考えられます。

タケシさんは、日頃から左外腹斜筋の活動が、胸椎の右回旋制限で、抑制されています。

その為寝返り際に、左外腹斜筋が、適切に働くことが出来ません。

そうなると、右内腹斜筋に、過度な収縮を強いる事となり、疼痛が生じたと考えられます。

また体幹右回旋の可動性低下の為、動作中に柵を持ち、引きつける必要があったと考えられます。

左足底で、ベッドを蹴る動きも、体幹右回旋を補う動作と推察します。

肩甲骨を支えて、寝返りを誘導した際に、症状が改善しました。

これも体幹右回旋を誘導し、出力を介助できたためと考えます。

上記の評価から、胸椎の右回旋可動域を改善し、左外腹斜筋の活動を、高めることが必要と、判断しました。

体幹右回旋制限により、右内腹斜筋の負担が増加する

体幹右回旋の介助で、疼痛が緩和

可動域を改善し、左外腹斜筋の活動を高める

引用文献

1)石井慎一郎.動作分析 臨床活用講座 バイオメカニクスに基づく臨床推論の実践.メジカルビュー社.2013,43.

問題点を治療する

胸椎の右回旋を、改善していくにあたり、疼痛の少ない端座位を、選択しました。

しかし、漠然と端座位で、胸椎を回旋させないよう、歩行器を持ち、体幹を左右に回旋してもらいました。

これにより、上肢に支点を形成し、胸椎の回旋を促しました。

しかし、体幹を回旋する際に、右側腹部に疼痛が生じました。

そこで、立位での体幹回旋運動に、切り替えました。

立位は股関節の回旋要素が、大きく加わってしまいますが、直接胸椎を、動かしていくよりも間接的に治療を行えます。

実際立位の方が、右側腹部の疼痛が少なく、負担が少ない事を確認しました。

立位の状態で、左右に回旋していき、体幹右回旋制限になっていた、右外腹斜筋の収縮・弛緩を繰り返し、緊張を改善させます。

更に右回旋では、左外腹斜筋の活動を、高める目的で行いました。

その後再び端座位で、体幹を回旋する訓練へと移行し、先程よりも疼痛が緩和している事を確認しました。

訓練後は体幹右回旋可動域も、15度から25度へと改善しました。

そこで寝返りを確認すると、柵を用いず、ベッドを蹴らなくても、寝返りが行えるようになりました。

疼痛もないとのことであったため、治療を終えました。

まとめ

今回は側腹部に、疼痛が生じるケースに対しての、対応を詳しく解説しました。

治療の手順は以下の通りになります。

治療の手順

疼痛が出ている部位を確認する

寝返り動作を確認する

問題点を整理する

問題点を治療する

寝返りでの問題は、後の動作にも響くことがあります。

寝返りで痛むと言われた場合は、後々動作に響かないように、治療しておくと、リハビリの経過が良くなる印象があります。

今回のように、疼痛が生じる側臥位ではない姿位で、治療していくことも、1つの解決策になります。

今回の記事が少しでも参考になれば嬉しいです。

おすすめ書籍

今回は寝返りの動作を、解析するにあたって、参考になった書籍がありますので、ご紹介します。

今回は寝返りの動作に関して、とても参考になった良書ですが、寝返りの他にも起き上がり、立ち上がり、歩行といった動作にも、詳しくバイオメカニクスに基づいて、解説してあります。

まだ1度も見たことがない方は、是非一度手に取って頂くことを、おすすめ致します。

最後に

この記事を参考にされる際は、目の前の患者さんに、紹介した評価・治療が適応できるか、判断して頂いたうえで、使用して頂ければ幸いです。

患者さん一人一人、疾患、既往歴、身体的特徴等異なります。

そのため、今回ご紹介した治療は、万人に対して、再現性を担保できるものではありません。

それらを踏まえた上で、参考にして頂ければ幸いです。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

以上、ユウセイでした。

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