
歩く時、膝がガクッとなるわ
なんででなの?

膝折れですね!筋力がないのでしょうか、、

膝折れの原因は筋力だけじゃないよ

そうなんですか!
「歩いていると、突然膝がガクッと崩れる…」
そんな経験に、不安を感じたことはありませんか?
筋力不足と思われがちですが、膝折れには他にも見逃せない原因が存在します。
本記事では、歩行中に起こる膝折れの原因と、理学療法士としての評価・改善の視点を解説します。
膝折れが起きやすいのはどんな人?

結論から話すと、立っている時に踵に体重が多く乗りすぎている方に、膝折れが起きやすくなります。
膝折れが起きやすい方の特徴として、歩く回数が少ない人が多いです。
普段からバリバリ歩いて、屋外で作業する方は膝折れが出にくいです。
逆に普段は座って過ごすけど、時々立って歩く方に膝折れの頻度が多いです。
その為運動不足で筋力が不足しているから、膝折れが生じているのだと感じる方が多いようです。
もちろん筋力低下もありますが、ポイントは普段あまり歩いていない事です。
なぜ座っていると膝折れに繋がるのか
座っている時につま先に体重が乗っていますか?
多くは乗っていないと思います。

背もたれにもたれたりするとなおの事ですね。

その為普段からつま先には体重を乗せないので、感覚が鈍ります。
踵もじゃないか?と感じる方もおられると思います。
意外ですが、踵は無意識に体重をかけています。
ずっと座っていてお尻に違和感が生じ、浮かせたり・いざったりする事はありませんか?

あの時に手だけでお尻を浮かせるのは至難の技です。
この時に踵が踏ん張り、お尻を浮かせる事に一役買う訳です。
実際に手だけでお尻を浮かせようとしてもなかなか浮きませんよ。

ちなみに筆者は両手を使って、割り箸程度も浮きません。
つまり踵には無意識でも体重が乗る機会がありますが、つま先は踏ん張る必要がありません。
またつま先で踏ん張るのはふくらはぎの筋肉(下腿三頭筋)ですが、座っていると働く必要がありません。
その為使わない筋肉は弱ってしまいます。

そこでいきなり立ち上がって歩こうとしても、つま先に体重が乗っている感覚が乏しい、足が踏ん張れないというリアクションが出てきます。
人によっては怖くてお尻が引けてしまう方もおられます。
その結果更に踵に体重が移動しやすくなります。

膝折れの原因とは?メカニズムを解説
なぜ踵に体重が乗りすぎると膝が折れるのでしょうか?
実際に実演していきますね。
まず踵に体重を乗せすぎるとつま先が浮き、後ろに倒れそうになりますね。

この時に膝を曲げてみてください。
あら不思議!一気に楽になりませんか?
身体が後ろに倒れようとするのを膝が曲がる事で、膝が前に飛び出します。
そのためつり合いがとれるわけです。

膝の前面には大腿直筋という筋肉があり、膝折れを抑えてくれる機能があります。

しかし先ほどの実演の通り、バランスをとるため膝が曲がるとつり合いはとれます。
しかし膝折れを予防する大腿直筋の負担は増加します。
個人差はありますが、膝が伸びている方でも踵に体重が乗れば、少なからずこの機能が働きます。

その為踵に体重が乗りすぎると、この大腿直筋の負担が大きくなってしまいます。
また膝が曲がったまま歩く方には、特に大腿直筋にストレスがかかります。
すでに膝曲がっていて、更に踵に体重が乗ってくるとなると大腿直筋にはストレス過多です。
更に歩行になると、片足立ちを繰り返すようなものです。
体重を全て支えなくてはいけないわけですね。
そこである時耐えられなくなり、膝折れ(膝がガクッとする)になる訳です。
膝折れを防ぐためのリハビリアプローチ
ここまで読んで頂いた方にはピンとこられた方もいるかもしれません。
そうです!踵だけでなく、つま先で踏ん張る機会・力をつける事が大事です。
しかしいきなり立って踏ん張るのは、ハードルが高いかもしれません。
そこで座ってできる方法をお伝えします。
踵・母趾球・小趾球を床につけます。

そこから無理をしない範囲でいい姿勢になりましょう。
いい姿勢を作れたらそのまま、身体を前に倒していきます。

すると足が踏ん張ってくる感じがしませんか?
ここで重要なのが踵が浮かない事です。
踵をつけたまま、母趾球・小趾球にも体重が乗っていくのを感じてください。
前に倒れない範囲で行ってほしいので、不安な方は何かに触りながらでもオッケーです。
ベッドに柵がついている場合、持ってもらってする事もあります。
膝に手をつくと運動が分かりやすい方もおられます。
無理のない範囲で身体を前傾し、体重を乗せてください。
最初は体重が乗っているのが分からない方もおられますが、徐々に分かってくる方も多いですよ。
注意点

無理はしないようにしてください。
普段使っていない筋肉を使う訳ですから、身体にはある程度の負荷がかかります。
頑張りすぎると筋肉痛や思わぬ痛みを招く事があります。
最初の1〜2週間は回数は一日に1〜3回からで良いです。
自分に合った回数を見つけて、徐々に増やしていってください。
踵ばかりに体重を乗せるのではなく、母趾球・小趾球にも頑張ってもらって重心を安定させましょう。
誤解してほしくないのは、つま先立ちやつま先に体重をたくさん乗せればいいと言っている訳ではありません。
あくまで足全体で頑張るというイメージが大事ですよ。
まとめ

今回は膝がガクッとなる際の原因と対策について解説しました。
突然膝がガクッとなってしまうと、歩くのが不安になってしまいますよね。
踵に体重が乗りすぎてしまうと歩行だけでなく、立ち上がりにも影響する事があります。
ぜひ足全体で踏ん張るイメージを身につけて、座りきり・寝たきりを予防して頂ければ幸いです。
くれぐれも無理なく練習は行ってくださいね。
膝がガクッとする感覚は、筋力だけでなく姿勢や神経の働きも関係している場合があります。以下の記事も参考に、膝周囲の機能と動作を見直してみましょう。
✅ 歩くと膝が痛い原因は?不良姿勢がもたらす負担と対策を理学療法士が解説【CASE17】
✅ 段差を昇ると膝が痛いのはなぜ?理学療法士が原因と改善方法を解説【CASE8】
✅ ふくらはぎが痛くて歩けないのはなぜ?原因と改善方法を理学療法士が解説【CASE13】
最後に
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
この記事を参考にされる際は、決して無理をせず、痛みのない範囲で活用してください。
なお一人一人、疾患、既往歴、身体的特徴等は異なる為、万人に対して、症状の改善・予防を担保できるものではございません。
利用者が当サイトを閲覧し、その内容を参照したことで何かしらの損害を被った場合でも、当サイト管理者は責任を負いかねますのでご容赦下さい。
それらを踏まえた上で、参考にして頂ければ幸いです。
以上、ユウセイでした。

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